キルギスがCIS FTAに正式加盟−ウズベキスタンも協定を批准−

(CIS、キルギス、ウズベキスタン)

欧州ロシアCIS課

2014年01月14日

キルギスは1月12日、CIS自由貿易協定(FTA)に正式加盟した。2011年10月のCIS FTA締結時に態度を保留したウズベキスタンも2013年12月、同年5月に協定署名国と締結した議定書を批准した。同議定書が発効した後、ウズベキスタンのCIS FTAへの加盟が実現する。

<キルギスは発効7ヵ国目に>
2013年12月9日にキルギスのアタムバエフ大統領がCIS自由貿易圏に関する協定(CIS FTA)を批准する法案に署名し、同法が成立した(キルギス共和国法第212号)。キルギス外務省が12月13日に批准書をCIS執行委員会に提出、2014年1月12日に正式加盟となった。

CIS FTAは、2011年10月にロシア、ベラルーシ、ウクライナ、アルメニア、カザフスタン、モルドバ、キルギス、タジキスタンの8ヵ国によって締結された。その後、各国で協定の国内批准作業が進められ、2012年9月にロシア、ベラルーシ、ウクライナの3ヵ国で先行してCIS FTAが発効した(表、2012年10月9日記事参照)。

各国のCIS自由貿易協定批准日と発効日

このほか、2012年内にアルメニア、カザフスタン、モルドバでもCIS FTAが発効したが、キルギスとタジキスタンは国内での批准が遅れていた。

キルギスが他署名国と比べて発効の時期が遅れた理由の1つとして、協定発効後もロシアやカザフスタンが留保した原油や石油製品などの輸出関税の課税に関する対キルギスの扱いがあった。協定付属書では、キルギスやタジキスタン向けに輸出される同製品に対する輸出関税の取り扱いは、別途ロシアやカザフスタンが加盟する関税同盟との交渉か、当該2国間での交渉で決めると規定されている。このため、同関税に関する交渉で時間を要したとみられる。キルギスのジョオマルト・オトルバエフ第1副首相によると、ロシアがキルギス向けに輸出する石油製品に対して2026年まで関税を課さないことでロシアと合意した(キルギス電子メディア「Kニュース」2013年12月27日)。

協定署名国のうち、タジキスタンが未批准国として残った。2013年3月にWTOに正式加盟した同国も、ロシアの石油製品などに対する輸出関税の扱いを重要視しているため、キルギスと同様の理由で批准に時間を要している可能性がある。

<ウズベキスタンもCIS FTA加盟へ>
2013年12月28日にはウズベキスタンのカリモフ大統領が、「2011年10月18日付自由貿易圏に関する協定の適用に関する協定当事国およびウズベキスタンとの議定書」を批准する法案に署名した(ウズベキスタン共和国法第362号)。議定書には、別に定められた例外事項を除き、ウズベキスタンと協定署名国間で関税を適用しないとする内容が盛り込まれている。ウズベキスタン外務省は12月31日、CIS執行委員会に批准の通知をした。これにより、実質的にCIS FTAに批准したことになる。

ウズベキスタンはトルクメニスタン、アゼルバイジャンとともに、2011年10月の協定の署名を保留した。その後、ロシアのプーチン大統領のカリモフ大統領に対する働き掛けもあり、2013年5月にウズベキスタンと協定署名8ヵ国の間で、議定書に署名が行われ、ウズベキスタンのCIS FTA加盟への道が開かれた。

議定書によると、ウズベキスタンと少なくとも署名国2ヵ国が国内批准を済ませ、CIS執行委員会に批准の通知をした30日後に議定書が発効する。議定書が発効した後、CIS執行委員会が加盟に関する文書を協定署名国に伝達するとともに、ウズベキスタンが同文書を受領した日をもってCIS FTAへの正式加盟が実現する。

(浅元薫哉)

(キルギス・ウズベキスタン・CIS)

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