食品ラベル表示に関する新たなEU規則が12月13日から施行−アレルゲン表示・情報伝達義務への対応が必要に−

(EU)

ロンドン事務所

2014年12月04日

食品ラベル表示に関する新たなEU規則が2014年12月13日から施行され、アレルゲン物質について、全ての食品事業者に表示・情報伝達の義務が課されるようになる。アレルゲン表示対象は日本より広く、表示ルールも厳しい。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<日本より広範囲で詳細な表示・情報伝達を義務付け>
EUにおける食品ラベル表示は、これまで主として「食品ラベル表示、広告などに関する指令」(2000/13/EC)「食品の栄養ラベル表示に関する指令」(90/496/EEC)およびそれらの改正に基づき規制されてきたが、2014年12月13日から新たなEU規則No 1169/2011が適用される(栄養表示については2016年12月13日から適用、注1)。今回の最も重要な改正点は、アレルゲンに関する表示・情報伝達を全ての食品事業者に義務付けたことだ。

対象となるアレルゲン物質の範囲が日本より広い上に、日本では認められている一括表示は認めず、個別の原材料ごとにアレルゲン表示を求めている点が大きな特徴だ(添付資料参照)。そのため、日本産の加工食品を輸出する場合、日本語で記載されたラベル表示を輸入業者が英訳するだけでは対応し切れないケースも想定されることから、日本産食品のEU向け輸出を行っている、または今後輸出を目指す食品関係事業者は、規則の内容をよく把握した上で輸出業者への情報提供、あるいは英語などでのラベル作成に対応する必要がある。

また、包装食品(注2)にとどまらず、外食産業やケータリング事業者に消費者からの求めに応じてアレルゲン情報を伝達することを義務付けており、その前提として、食品のサプライチェーンに関わる全ての事業者がアレルゲン情報を下流の事業者に正しく伝達する義務を負うことになった。同情報伝達については加盟国当局に義務付けの裁量が一部委ねられているが、英国ではEU規則が求める以上の厳しい方向性は示されていない。

なお、同規則では、アレルゲン表示のほかにも新たな表示義務が課されている。特に日本から食品を輸出する際に留意が必要とみられるものは以下のとおり。

○食品の状態(粉末・フリーズドライなど)について、商品名に含めるか、添付する。
○冷凍で保存・流通後、解凍して販売する商品は、「解凍品」と表示する(例外あり)。
○代替原材料を用いて生産した商品については、代替した成分名を製品名の近くに、商品名の75%以上のサイズで記載する。
○水を5%以上添加した、異なる動物由来のタンパク質を添加した、あるいは再成形した肉および魚介類は、その旨表示する。
○ガス充填(じゅうてん)を行っている包装食品はその旨表示する。
○冷凍肉・冷凍肉調製品・冷凍未加工水産物については、最初の冷凍日を記載する。

(注1)詳細はジェトロ「EUにおける食品ラベル表示に関する規制」を参照。
(注2)アルコール飲料や表示面積が10平方センチ未満の小包装食品については、アレルゲン表示の義務があるが、栄養表示義務は対象外となる。

(島本健一)

(EU)

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