南京で高齢者産業・リハビリ福祉博覧会を開催

(中国)

上海事務所

2015年10月26日

 「2015南京高齢者産業およびリハビリ福祉博覧会」が9月11~13日、江蘇省南京市で開催された。博覧会は今回で4回目。会期中、ジェトロと江蘇省民政庁、江蘇省老齢工作委員会弁公室、江蘇省障害者連合会は共催で「日中(江蘇省)高齢者産業交流会(セミナー)」を開催した。

<日本の介護サービスや福祉製品などをPR

 ジェトロは過去2回と同様に「ジャパンゾーン」を設置し、日本の高齢者介護サービスや福祉製品などをPRした。

 

 開幕式後に、江蘇省副省長・省老齢工作委員会主任の許津栄氏、江蘇省民政庁庁長・江蘇省老齢工作委員会副主任の侯学元氏、中国国際貿易促進委員会江蘇省分会会長の笪家祥氏、江蘇省障害者連合会副理事長の胡乃亮氏をはじめとする要人が日本館を訪ね、高齢者用品に特に関心を示した。

 

3日間で商談283件、成約見込みが120件>

 博覧会には、計154社の企業が出展したが、外国団体は、日本館と台湾館のみだった。ジャパンゾーンは日本館内に設置し、過去最多の181自治体が出展した。サービス、設計、建築、用品、健康診断など、高齢者産業全般にわたる企業がそろった。3日間の会期中、商談件数は283件、成約見込みが120件となった。

 

 日本の高齢者関連製品・サービスに対する認知度は高まっており、専門家はもちろん、一般消費者の注目も集まり、年配の来場者から「日本の物はどこにあるのか」などの問い合わせがあった。また、1人に説明や案内をすると、口コミでその後、数人を連れて来るケースも見られた。

<セミナーの高齢者産業交流会を共催>

 ジェトロと江蘇省民政庁、江蘇省老齢工作委員会、江蘇省障害者連合会、中国国際貿易促進委員会江蘇省分会は共催でセミナー「日中(江蘇省)高齢者産業交流会」を開催し、中国民政関係者や日中高齢者産業関連企業の関係者ら約100人が参加した。

 

 基調講演として、江蘇省民政庁の孫才洋副処長は、(12015年末までに、全省の高齢者向け施設全てに医療サービス施設を設置、あるいは近隣の医療施設とサービス契約を結ぶなど、入居者全員が医療サービスを受けられるようにする予定であること、(2)江蘇省の高齢者向けサービスの人材育成を推進し、介護士の職業訓練を展開して、2012年から現在まで3万人近く(初級、中級、高級)の人材育成をしてきたこと、(3)「江蘇省対外協力交流の強化と、養老サービス業における外資参入の発展に関する意見」に基づき、今回の発展目標は、養老サービス業を江蘇省のサービス業開放の重点分野とし、外資の参入障壁を緩和し、投資環境の改善を図り、優遇政策を実施するなど、外資の誘致と吸収に力を入れ、2016年末までにそれぞれの設区市(区を設ける市)が対内直接投資か共同経営、あるいは外資系企業が管理する高齢者向けサービスプロジェクトを1つ以上誘致することを目指す、という3点を述べた。

 

 主な政策としては、a.外資系企業の高齢者向けサービス業への投資を奨励、b.本土以外の高齢者向けサービス企業と施設の共同経営への参入を奨励、c.外資系企業の高齢者向け製品の開発・生産を奨励、d.本土以外の資本が高齢者向けサービス企業本部を江蘇省で投資設立することを奨励、e.高齢者向けサービスの提供者の本土以外の高齢者向けサービス業への投資と参入を奨励、f.専門人材育成面での協力を強化、g.高齢者向けサービス業の国際協力交流の強化、などを挙げた。

 

<博覧会に合わせた入札イベントも>

 また、江蘇省障害者連合会の王必亮処長は博覧会に合わせた入札イベントの実施について、「江蘇省障害者連合会は、博覧会を政府調達と融合させ、博覧会と同時推進で、『多機能バイオフィードバック治療器』『シチュエーションインターラクティブトレーニングシステム』といった23種類のリハビリ設備と、移動器具、児童用リハビリ器具、視力補助、バリアフリー住宅、自立生活、リハビリ介護補助器具などに関連する77種類の商品の競争入札を行う。入札金額の合計は、6,000万元(約114,000万円、1元=約19円)近くに上ると予測される」と説明。さらに、「入札の手続きについては毎年、障害者連合会のウェブサイトで募集を行い、大体秋ごろに入札を行っている。2015年の入札は終了しても、2016年以降はまた機会があるだろう」と話した。

 

 基調講演後に日本企業10社が発表を行い、セミナーの終了後には、障害者連合会の王処長が安川電機のブースを訪れ、展示品に関心を示した。

 中国の60歳以上の高齢者人口は2014年時点で、日本の総人口の約2倍に当たる21,200万人となり、総人口の15.5%を占め、社会の高齢化が進んでいる。とりわけ江蘇省は、2014年末で60歳以上の高齢者人口が前年比約85万人増の1,5793,000人と、中国の省レベルで最も高齢化が進んでいる地域だ。また、上海市と浙江省に隣接しており、経済面でも最も発展し、消費力も高い。高齢化が進み、中産階級がますます増えていく中国の進展状況をみると、日本の優れた高齢者向けサービスと高齢者用品などがこれから浸透していくと期待できる。

 

尹世花

(中国)

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