エルデネバト首相らと経済協力など活発に議論-モンゴル貿易投資フォーラムを東京で開催-

(モンゴル、日本)

中国北アジア課

2016年10月24日

 ジェトロは10月13日、在日モンゴル大使館との共催でモンゴル貿易投資フォーラムを東京で開催した。エルデネバト首相は7月の就任後、初の外遊先として日本を訪問した。モンゴルにとって初の経済連携協定である「日本モンゴル経済連携協定(日モEPA)」が6月7日に発効し、資源・エネルギー、農牧業、食品・同加工分野における投資環境の改善や両国間の経済関係の強化に貢献することが期待されている。フォーラムには約200人が参加し、モンゴル側訪問団約100人との交流会も実施された。

<日モEPAは「モンゴル初の経済連携協定」>

 開会あいさつで登壇したジェトロの石毛博行理事長は、6月の日モEPAの発効を受け、両国間でのモノ・サービスに関する市場アクセスの改善、モンゴルでの投資環境の改善が進む中で、両国間の経済活動がこれまで以上に活発化するだろうと述べ、「EPA発効は重要なマイルストーンだが、さらに重要なのは活用することだ」と今後の経済連携に期待を寄せた。

 

 経済産業省の井原巧大臣政務官は、安倍晋三首相就任後、モンゴルとの首脳会談が11回、安倍首相の訪問が3度と、モンゴルとの関係が緊密化していることを紹介し、本フォーラムで理解を深めることで両国関係が一層深まることに期待を示した。また経済産業省主催で2007年から「日本-モンゴル官民合同協議会」を実施しており、モンゴルビジネスに関心を持つ企業関係者の参加を呼び掛けた。

 

 基調講演でエルデネバト首相は、日モEPAは「モンゴルにとって初の経済連携協定であり大きな進歩」とした上で、両国の経済協力を新たな段階に進め、関税の段階的削減、貿易障壁の低減、投資や先進技術を増やすための、持続的で良好な関係を整えるために重要な意義があると語った。また世界経済をリードする日本の具体的な関心をモンゴルに創出し、日本からの貿易、特に直接投資を増やすことはモンゴルの経済外交政策にとって最優先的な意義を持つとし、そのために「出資者への協力を強化する」と表明した。

写真 エルデネバト首相による基調講演(ジェトロ撮影)

 そして、日本とモンゴルの政治・経済・文化・人的交流などあらゆる分野で発展していることに満足を示し、経済面でも1990年代の市場経済移行期より、多くの日本からの投資を受け入れ、エネルギー分野などで大規模プロジェクトが実施され、現在も複数の企業がモンゴルとの共同事業に関心を示しているとし、投資が一層拡大することに期待を寄せた。

 

 エルデネバト首相は、モンゴル人が速く駆ける馬を大切にし、乾燥しているために雨を重宝する伝統を持つことから、日本とのビジネス協力が「早馬のごとく俊敏で、雨の後の虹のように多用な色が組み合わさり、実り豊かで創造的なものであるように」とし、スピーチを締めた。

 

<モンゴル側5,700品目、日本側9,300品目の輸入関税を軽減>

 日モEPAについて、バトムンフ・バトツェツェグ外務副大臣が登壇し、以下のように説明した。EPA発効により、モンゴル側5,700品目、日本側9,300品目の輸入関税が軽減され、またそのうちモンゴル側3,420品目、日本側8,400品目の関税が発効日から即時撤廃されている。

 

 同時にモンゴルは日本からの投資が拡大することで最新技術やノウハウの導入、国際市場における競争力強化、製品の質および衛生管理の向上、輸出品目の増加、経済の多様化などに期待を寄せている。また農産品、繊維・衣料・革製品、重工業の付加価値品などを、日本市場に低税率で輸出することで生産量が上がり雇用が増加することを期待している。

 

 日本に対して、サービス貿易・投資など幅広い分野で自由化が進められているほか、投資に関する法制度も透明化が進んでいるとして、バトツェツェグ外務副大臣は、本フォーラムを機に今後も各種フォーラム、セミナー、展示会などを通じ、民間レベルでの協力をより推進していく考えを示した。

 

 首相訪問に同行したオチリフー・エルデムビレグ・モンゴル銀行筆頭副総裁、ホーホル・バダムスレン鉱業・重工業副大臣、ルハグワスレン・バヤルトルガ食料・農牧業・軽工業省次官、バンズラグチ・バヤルサイハン国家開発庁長官、モンゴルの大手通信・電力クリーン・エナジー・アジア(Clean Energy Asia)のガンホヤグ最高経営責任者(CEO)が登壇し、マクロ経済運営の現状や、注目される鉱山、農水産、外資誘致政策、再生エネルギー分野について紹介し、最後にモンゴル商工会議所のバータルジャブ・ルハグワジャブ理事長が閉会のあいさつを行った。

写真 フォーラム会場の様子(ジェトロ撮影)

(黄海嘉)

(モンゴル、日本)

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