独創性や機能性の高い食関連雑貨が関係者に人気-サンティアゴの見本市にジャパンブース出展-

(チリ)

サンティアゴ発

2017年11月27日

1人当たりのGDPが高いチリにおいては、日本の食関連雑貨の参入余地は十分ある。2017年9月に開催された総合食品関連見本市のジャパンブースでは、ジェトロが出展企業に代わってバイヤーとの取り次ぎなどの商談支援を実施したところ、独創性があり、機能性の高い日本の食関連雑貨への評価が非常に高かった。チリでは日本食普及が遅れていることもあり、一部製品については使用方法や当該製品を使用した料理のレシピなどをウェブなどで発信していく必要もあるようだ。

出展の中小企業15社の商談を支援

7回目となった国内最大の総合食品関連見本市「エスパシオ・フード&サービス2017」はサンティアゴ・ウエチュラバ区の総合イベント会場エスパシオ・リエスコで9月12~14日に開催(エスパシオ・リエスコ主催)され、国内外から450以上の企業・団体が出展し、ホテル・レストラン・カジノ事業者、食品の輸入・卸業者、スーパーなど小売り関係者ら過去最高となる2万4,998人が来場した。出展者はチリ国内の食品メーカーのほか、中南米など22カ国のナショナルブースが出展し、ブラジルの乳製品、コロンビアのコーヒー、スペインの生ハム、アルゼンチンのマテ茶、メキシコのテキーラなどが展示されていた。アジアからは日本のほかに、インドネシア、マレーシアがブースを構えた。

ジェトロでは2017年度「南米輸出チャレンジ事業」をチリ、コロンビア、ブラジルの3カ国で実施しており、今回の見本市へのジャパンブース出展は本事業の一環となっている。

本事業の特徴は、ジェトロが企業の代わりに、バイヤーとの取り次ぎを含めた商談支援をすることにある。中小企業にとっては、南米市場の販路開拓・拡大を目指したいものの、距離的、時間的コストから南米チリでの展示会に出展することは難しい。本事業は担当者の出張が不要で、展示品サンプルの送付のみのため、中小企業にとって負担が少なく、参加のハードルが低い。今回は申し込み企業の中から、見本市との親和性や市場のニーズに鑑み、食関連雑貨品に絞って15社の商品を展示した。和包丁、陶器、萬古焼(ばんこやき)土鍋、保冷材付き弁当箱やキッチン用品、アイスクリーム専用アルミスプーン、すずがみ(スズ100%、折り曲げることのできるプレート)など、独創性のある製品から機能性の高い製品まで幅広い品ぞろえだった。

プロから高く評価される日本の職人技

シェフやレストラン、ホテル関係者の来場が多く、数ある展示品の中でも包丁は特に注目されていた。試し切りをしたシェフは、実際に手に取ってその切れ味や握りやすさを確かめ、普段から使っている包丁と比べ品質の高さを実感していた。一般的な包丁の2倍から3倍の価格でも納得をしており、製品の価値が分かるプロからは正当に評価されているという印象を受けた。

珍しさでは、すずがみも大変注目されていた。スズ100%で、職人技で作られた正方形のプレートは紙のように自在に折り曲げることができ、実際に手に取って曲げてみたチリ人からは、その柔らかさと緻密で美しい模様に驚きの声が聞かれた。

モダンなデザインのティーポット、カラフルなふたの土鍋など、見た目のデザインが洗練されたものも来場者には好評だった。豆腐専用やご飯用の土鍋も出品されていたが、チリでは日本食がさほど普及していないため、これらの商品はレシピ集やウェブなどで使い方を説明していく必要がある。

参入余地あるチリ市場、価格設定がカギ

デザインや機能性に関しては好評だったものの、値段は総じて高め、という意見が多かった。個人経営のカフェやレストランオーナーからの要望では、値段がもう少し下がれば買いたいとの声も多く、商品のチリ市場展開には価格設定がポイントとなる。

商品自体はチリ市場に参入していないものも多いが、南米で1人当たりのGDPがトップレベルであるチリにおいては、よりクオリティーの高い差別化された商品へのニーズが高まりつつあり、そこに日本製の商品のビジネスチャンスが見込まれる。

写真 展示会場の様子(主催者提供)

(中山貴弘)

(チリ)

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