米国などによる制裁順守行為への罰則法案、審議が延期に
(ロシア)
欧州ロシアCIS課、モスクワ発
2018年05月18日
ロシア下院は5月17日、米国などが発動した対ロシア制裁を順守する行為に対し罰則を科す法案(2018年5月17日記事参照)の審議を延期する、と同院ウェブページに発表した。実業界などからの申し入れを受けたもの。
同法案は5月14日に下院に提出され、15日に第1読会で審議。17日には第2読会での審議が予定されていた。一方、法案の内容は科刑の適用範囲などが不明確で、解釈によっては米国の制裁対象リストに含まれるロシア人実業家やロシア大手銀行ズベルバンク、対外貿易銀行、ロシア財務省までもが刑罰対象となる、との批判が出ていた(「ベドモスチ」紙5月17日)。また、現在同制裁リストに掲載されているロシア企業と取引関係にある日系・日本企業にも適用される可能性があり、困惑が広がっていた。
ビャチェスラフ・ボロジン下院議長はロシア産業企業家連盟(RSPP)や銀行業界などから追加の立法協議実施の要請を受け、同法案審議の延期を決定している。
在モスクワの法律事務所はジェトロのインタビュー(5月17日)に対し、本法案について「類似法令や適用事例が全くなく、適用予測が困難。目的は刑罰適用でなく広範な抑止効果ではないか。引き続き経過注視が必要」と述べている。また、別の法律事務所は「全ての文言が不明確で、当局・法執行機関に大きな裁量の余地を与える」として懸念を表明している。
(高橋淳、齋藤寛)
(ロシア)
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