税関法改正を公布、通関代理店のライセンス導入

(メキシコ)

メキシコ発

2018年06月28日

メキシコ政府は6月25日、税関法の改正を公布した。100近い条項を変更する大規模な改正で、コンプライアンスおよび徴税の強化、通関手続きの円滑化、新技術の導入、税関当局の権限強化などを目的とする。改正の施行日は6月25日の官報公示から180日後。

改正内容は多岐にわたるが、事業者の関心が高い改正内容の1つは、通関関連の許認可事業者としての「通関代理店(Agencia Aduanal)」のカテゴリー創設だ。メキシコで輸出入通関を行う場合、通常は「通関士(Agente Aduanal)」の許認可を持つ個人を介して申告を行う必要があり、輸出入業者は税関に対し、あらかじめ通関士の登録を行わないと通関ができない。2013年末の税関法改正と2015年の同法施行規則の施行により、「社内通関法的代表者」を通じた通関も可能になったが(2015年7月1日記事参照)、今でも依然として多くの企業が通関士を利用する実態に変わりはない。

今回の改正で通関代理店の制度が導入された。通関代理店は、通関士が少なくとも1人以上参加する法人で、個人ではなく法人に通関業務を行う許認可が付与される。輸出入事業者は今後、法人である通関代理店を登録することで輸出入申告が可能になる(選択制で、引き続き通関士個人を登録することも可能)。

輸出入事業者が税関に対して通関士個人を登録する場合、登録通関士が死亡してしまったり、許認可が取り消されてしまったりした場合、輸出入事業者は第三者である通関士の事情であるにもかかわらず、新たな通関士を登録するなどの対応をするまでの間は通関申告が一切行えなくなる。他方、税関に法人である通関代理店を登録する場合、同代理店で働く1人の通関士が死亡、あるいは許認可取り消しの事態となっても、同じ代理店で働く他の通関士を通じた申告が可能となり、輸出入事業者に直接関係のない事由によって通関業務が滞ることはなくなる。

外資系企業は「通関代理店」になれず

改正税関法第167条-DのI.は、通関代理店の要件の1つとして、「定款に外国人排除条項を盛り込んだ資本金50万ペソ(約275万円、1ペソ=約5.5円)以上のメキシコ法人」と規定している。外国人排除条項とは外国人、外国企業、外資系メキシコ企業の出資を一切受け入れないという条項であるため、日系企業などがメキシコ人の通関士(注)を雇用して通関代理店を営むことはできない。

(注)税関法第159条Iに基づき、通関士は生来のメキシコ人でなければならない。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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