急速に強化されるカルテルの取り締まり

(オーストラリア)

シドニー発

2018年06月05日

オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は6月1日、2015年8月に行われた地場大手銀行であるオーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)による機関投資家向け増資の際のカルテル行為に対する訴追を、ANZと同行の幹部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、さらにシティグループ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますドイツ銀行外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに対して行う方針であることを発表した。

日本企業も摘発の対象に

ここ数年、ACCCはカルテルに対する取り締まりの強化と厳罰化を急速に進めている。5月16日には日本の自動車部品メーカーに対し、自動車部品の取引に関するカルテルにより、これまでで最も高額となる4,600万オーストラリア・ドル(約38億6,400万円、豪ドル、1豪ドル=約84円)となる判決が確定したばかりだ。

上記以外の日本企業の事例では、2016年に現行の「2010年競争・消費者法」による最初のカルテル摘発として、自動車輸送に関するカルテル行為で日本の物流会社2社が訴追を受け、このうち1社については罰金が既に確定している。

ACCCは2018年3月26日付のメディアリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、OECDが同日発表したレポート「Pecuniary Penalties for Competition Law Infringements in Australia 2018」の内容を引用するかたちで、オーストラリアの競争法の違反に対する罰金の平均額は他のOECD加盟国と比べると著しく低く、OECD加盟国平均とは実に12.6倍もの差がある、と述べている。

反競争的行為への対策強化は、特に米国が顕著だが、そのような動向を追いかける格好で、オーストラリアでも今後もさらなる取り締まり強化と厳罰化の流れが加速するものとみられる。

(佐藤創)

(オーストラリア)

ビジネス短信 886c42488845990d