2016年工業調査(企業編)、製造業で食品のシェア高まる

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年06月29日

ブラジル地理統計院(IBGE)は6月21日、2016年工業調査(企業編)(注)を発表した。同調査によれば、2016年の工業分野の企業数は32万1,186社、そのうち鉱業は5,637社、製造業は31万5,549社となっている(表参照)。

製造業に関して業種別に企業数が多い順にみると、縫製・衣料・同部分品(4万9,994社)、金属製品(機械を除く)(3万9,589社)、食品(3万8,537社)と続く。一方、従業員数は工業分野全体で774万1,779人、うち鉱業は19万2,372人、製造業は754万9,407人だった。製造業に関して業種別に従業員数が多い順にみると、食品(170万4,691人)、縫製・衣料・同部分品(64万4,331人)、金属製品(機械を除く)(47万724人)の順となった。

表 工業調査(企業編)による企業数と従業員数

約10年前(2007年)の調査結果との比較では、製造業の上位3つの業種は同じだ。ただし企業数でみると、食品が24.3%増加している一方、縫製・衣料・同部分品は2.3%増にとどまった。従業員数でも、食品は27.0%増なのに対して、縫製・衣料・同部分品は2.1%減となっている。つまり製造業の中で、食品の存在感が増していることが分かる。食品は2007年に製造業の企業数で11.4%を占めていたが、2016年には12.2%となり、従業員数では18.3%から22.6%に上昇した。

なお、工業全体で売上額の構成比をみると、(1)2016年に工業活動により生じる財とサービスの売上額の割合が79.6%、(2)工業活動以外の売上額(自社で生産していない商品の販売や輸送、売電など)が9.4%、(3)その他売上額(不動産、金融収入など)が11.0%だった。2007年の調査では(1)の割合は86.0%、(2)が6.0%、(3)が8.0%で、本業以外の売上額の割合が上昇している。

工業全体でのコストの構成比に関して2016年の結果をみると、(1)原材料費が38.4%、(2)その他コストが29.8%、(3)人件費が14.1%となった。これも2007年の調査では(1)の割合は47.0%、(2)は23.9%、(3)は13.1%だった。つまり、原材料費の比率が大きく低下した一方、その他コストと人件費の割合が高まっている。なお、その他コストには賃料、リース代、出張費、委託サービス費などが含まれる。

(注)同調査は企業が回答するアンケートを基にサンプル集計したもの。対象企業は、いわゆる納税番号に当たる全国法人登録(CNPJ)があり、社会保険システムを管轄する労働・雇用省の社会情報年報(RAIS)に登録され、IBGEの企業中央登録(CEMPRE)で活動実態が確認されている企業、つまりインフォーマル企業を含まない。

(二宮康史)

(ブラジル)

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