医療サービスの付加価値税を7月から免除

(スリランカ)

コロンボ発

2018年06月29日

政府は6月19日、医療部門の付加価値税(VAT)を7月1日から免除すると発表した。シリセナ大統領とウィクラマシンハ首相の指示に基づいて、セナラトネ保健・栄養・伝統医療相が本免税措置を閣議に提案し、決定された。

記者会見したマンガラ・サマラウィーラ財務・マスメディア相によると、医療部門における診察料、予約手数料、専門報酬に対して、7月1日以降は15%のVATが免除される。一方で、私立病院に入院した場合の室料については、利用者に十分な支払い能力があるという理由から免税は見送られた。

スリランカでは財政赤字削減策の一環として、2016年11月にVATが11%から15%に引き上げられた。サマラウィーラ大臣は会見で「医療サービスを受ける際に国民に重い負担を強いるのは不当」と述べ、今回の免税措置の決定に至った経緯を説明した。免税に伴う減収は12億スリランカ・ルピー(約8億4,000万円、1スリランカ・ルピー=約0.7円)に上るが、政府が目標に掲げる「下半期に税収300億スリランカ・ルピー増」は達成できるとも付け加えた。

国営セイロン石油公社(CEYPETCO)が5月に、ガソリンや軽油、灯油などを値上げした。会見での大臣のコメントからは、国民の間で募っている負担増への不満を少しでも和らげたいとの思惑もくみ取れる。

借り入れを行っている世界銀行やIMFなどからの指導もあり、政府は財政健全化に向けた取り組みを進めている。一方で、2019年末には大統領選挙が予定されており、痛みを伴う政策ばかりを続けることも難しい。しばらくは硬軟織り交ぜた政権運営が続くと予想されている。

(小濱和彦)

(スリランカ)

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