ロシアからのトルコ向け貨物、BTK鉄道の利用進む

(ロシア、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコ)

欧州ロシアCIS課

2018年07月31日

ロシア・トルコ間でバクー(アゼルバイジャン)・トビリシ(ジョージア)・カルス(トルコ)を経由する「BTK鉄道」の利用が進んでいる。BTK鉄道のオペレーターでアゼルバイジャン鉄道の子会社ADYエキスプレスは7月23日、ロシアのウラル連邦管区チェリャビンスク州マグニトゴルスクにあるマグニトゴルスク製鉄所の鉄鋼製品を積載した最初のコンテナがトルコの地中海沿岸の都市パヤスに到着したと報じた。

マグニトゴルスクからパヤスまでの鉄道輸送距離は5,000キロ。これまではマグニトゴルスクからロシアの黒海沿岸の港湾都市ノボロシイスクまで鉄道で輸送し、黒海、地中海を経由しパヤス南方のイスケンデルンまで海路で輸送していた。BTK鉄道により輸送期間は30日から17日に短縮され、海上輸送と異なり天候に左右されないことから、ADYエキスプレスは「持続的で速く、便利で安全」とアピールしている。今回の輸送結果を受け、マグニトゴルスク製鉄所は月6万トンの貨物をBTKの鉄道の輸送に切り替えるという。

BTK鉄道は2017年10月末に供用が開始された。旧ソ連圏のロシア、アゼルバイジャン、ジョージアとトルコでは鉄道の軌間幅が異なるため、ジョージアのアハルカラキで貨物の積み替えを行う。そのため現在は積み替えに便利なコンテナ貨物の輸送が主力だが、一方で、2018年6月にはロシアのオレンブルク州(ボルガ連邦管区)から穀物がホッパ車(注)12両でトルコまで輸送されるなど、コンテナ以外の貨物も徐々に利用が進んでいる。ロシアの物流関連の専門家は、主としてロシアのシベリア、ウラル、沿ボルガ地域で、BTK鉄道経由トルコ向け、さらに(トルコの地中海沿岸港湾を経た)アフリカ・中近東向けの貨物輸送に大きな需要があるとコメントしている。

(注)貨車の一種。ばら積み貨物輸送に特化した貨車。

(高橋淳)

(ロシア、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコ)

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