シアヌークビル港に多目的ターミナルが完成

(カンボジア)

プノンペン発

2018年07月09日

カンボジア南部のシアヌークビル港で6月25日、多目的ターミナル開設記念式典がフン・セン首相ら出席の下、行われた。同港はカンボジア唯一の大水深港で、取扱貨物量は増加を続けている。同港ではこれまで、コンテナ貨物以外の一般・バルク貨物(ばら積み貨物)を小規模なターミナルで取り扱ってきたが、2015年から日本の7,400万ドルの円借款で新ターミナルの整備が行われ、約3年の歳月をかけ完成した。なお近隣には、日本の円借款事業により2012年に完成したシアヌークビル経済特区(SEZ)がある(2018年4月25日記事参照)。

フン・セン首相は、多目的ターミナルに5万トン級の船が入港可能となったことについて、日本政府に感謝の意を示した。また、スン・チャントール公共事業・運輸相は「農産物を国外の市場へ輸出するためのカギとなる玄関口であり、港の能力を向上させることで輸送をよりスムーズにし、近隣諸国との競争力を高める重要な役割を果たす」とし、「今般の整備により、このターミナルはこれまでの2倍以上の貨物取り扱いが期待でき、国全体の輸出入の70%を担うことになるだろう」と述べた。さらに、日本から2億3,000万ドルの資金援助を得て、新たなコンテナターミナルを建設する予定であることも明らかにした。

国際協力機構(JICA)関係者は「今後は一般貨物に加えて、増加するコンテナ貨物や旅客船を取り扱うことで、港湾全体の貨物取扱能力が向上する見込み」としている。当地の日系物流企業も「コンテナサイズに収まらない貨物はばら積み船で多目的ターミナルを利用することになるが、取り扱いスペースが広くなり作業がスムーズになる」と話していた。

(磯邊千春)

(カンボジア)

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