国有企業のメテック、軍事と民生分野を分割

(エチオピア)

アディスアベバ発

2018年09月19日

金属エンジニアリング会社メテック(METEC)の軍事分野と民生事業の分割が決まった。人員削減も実行する。同社は政府の基幹プロジェクトには欠かせない存在で、故メレス元首相時代に、国の工業化を牽引するべく国有企業として設立された。製糖工場や、完成すればアフリカ最大級となる大型ダム(グランドルネサンスダム)の電気設備工事などを請け負っていたが、同社がそれらの完成を遅らせているとたびたび批判にさらされていた。

メテックは、傘下に複数の事業をカンパニー制のようなかたちで持つ。そのうちの1つビショフトゥ・オートモーティブ・インダストリー(BAI)は、バスやピックアップトラックなどの自動車生産も手掛けており、日本企業関係者も注目する企業だ。しかし、運営には軍幹部が関与し、自動車事業と同じ工場敷地内で軍事車両も修理・換装するなど、安全保障や貿易管理上の懸念などもあり、具体的なビジネスには結び付ついてこなかった。

分割後、軍の装備品の生産などは防衛省傘下の新会社に移管されるという。BAIの事業は多岐にわたっており、どのような取り扱いになるか引き続き検討中のようだ。政府内では9月末までの分割実施が指示されているもようだが、BAI事業の帰属の決定は簡単ではないとして、想定よりも時間がかかるとの見方もある。

(関隆夫)

(エチオピア)

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