TN州、プラスチック規制導入に向け課題が山積

(インド)

チェンナイ発

2018年10月05日

タミル・ナドゥ(TN)州のプラスチック規制導入まで残り3カ月を切った。州政府は6月、2019年1月1日以降の使い捨てプラスチックの製造および使用などの禁止を発表し、実施に向けて規制に関する通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。2022年までに使い捨てプラスチックの全面禁止を目指すインドでは、2018年9月現在、全国29州のうち25州が関連規制を導入しているとされており、TN州での規制導入もその流れをくむものだ。

同通達では、食品用ラップ、ランチョンマット、皿、コップ、タンブラー、パウチ、ストロー、旗、および非分解性素材を原料とするレジ袋のような、使い捨てプラスチックの製造、保管、供給、移送、販売、配布、および使用を全面的に禁止しており、他州で規制対象外になっている厚さ50ミクロン以上の使い捨てプラスチック製品も、TN州では規制対象としている。一方で、牛乳・乳製品などの食品パッケージや医療用製品、また輸出用に仕向けられた製品などは規制対象外としている。なお、同通達には、罰則に関する内容は記載されていない。

実施までに3カ月を切り、規制には賛否両論

同州内では、環境汚染などの解決に向けた取り組みとしての、プラスチック規制の導入を歓迎する声が聞かれる一方で、通達で例示されている製品以外のものについて、規制対象の不明瞭さも指摘されている。現時点では、同通達以外に、州政府が規制の実施に関して具体的に内容を定めたものは公表されていない。

使い捨てプラスチック製造業者や外食などの関連業界では、同州のプラスチック規制が失業やコストの増加をもたらすとして、影響を懸念する声が上がっている。TN州プドゥチェリープラスチック協会のサンカラン会長は「(規制が導入されれば)州内のプラスチック産業は崩壊し、50万人の産業従事者に影響が出るだろう」としている(「ザ・ヒンドゥー」紙9月15日)。また、外食業界では、生分解性プラスチックパッケージに切り替える動きが徐々に進んでいるものの、TN州レストラン協会のスッブ会長は「包装パッケージコストの増加によって、小規模レストランを中心に大きな痛手を被るだろう」とし、「州政府は規制の導入を段階的に行うべきだ」と述べた(「タイムズ・オブ・インディア」紙9月19日)。

写真 規制導入を見据え、利用が徐々に広がる生分解性レジ袋(ジェトロ撮影)

(榎堀秀耶)

(インド)

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