ユベントス、ファンサービスにブロックチェーン技術を活用
(イタリア)
ミラノ発
2018年10月09日
世界的なプロサッカーチームであるユベントスFCは9月24日、ファンサービスにブロックチェーン技術を活用することを発表した。マルタ企業メディアレックスが運営するスポーツ向け投票プラットフォーム「ソシオス・ドットコム」と提携し、2019年前半には、チームのファンが「ファン・トークン」を購入できるようにし、その所有者はクラブ運営の意思決定投票などに参加できるとしている。
この「トークン」は、一般に既存のブロックチェーン上で独自に発行され、交換や売買なども可能な引換券のような役割を果たすもので、ユベントスの発行するファン用のトークンは、メディアレックスの運営する「チリーズ」のプラットフォーム上の仮想通貨($CHZ)で取引される。
チリーズのホワイトペーパーによれば、チリーズはスポーツなどのファンに対し、以前よりも直接的に自分のお気に入りのチームとのつながりを持ち、影響を与え、金銭的にも支援をすることができるプラットフォームとなると位置付けられている。ユベントスもトークンの導入について、革新的な方法で、ファンとクラブとの間で相互的な関わりを生む新たな機会を世界中、特に欧州外のファンに提供することを意図しているとしている。一方でチリーズは、トークンはチームの所有権や資本とは切り離された存在だと明言しており、トークン保有者の声が、資本所有を通じた経営参画とは異なるかたちで実現される。トークン保有者の参画できる意思決定内容などは、2018年9月末の時点では明らかにされていないが、これまで以上に高いチームへの参画度を感じられるユーザー体験をもたらしつつ、同時にクラブ側は、新たな収益源を探る動きとみられる。
仮想通貨をめぐっては、データ改ざんなどのリスクや電力消費の大きさなど、さまざまな課題も指摘されている。一方で、ユベントスのような知名度が高いチームもブロックチェーン技術の活用に動いたことで、さらなるスポーツチームの参入や異分野からの参入、既存ビジネスモデルにはない経済活動の出現につながる可能性もある。
(山内正史)
(イタリア)
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