中銀が新たな金融政策発表、IMFとの追加融資合意を反映

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年10月01日

ギド・サンドレリス中央銀行総裁は9月26日、IMFとアルゼンチン政府との追加融資合意を受けて記者会見を開き、新たな金融政策を発表した。

サンドレリス総裁は、現在のアルゼンチンの脆弱(ぜいじゃく)性としてインフレと財政赤字を挙げ、インフレ抑制が最優先の課題と強調した。その対策として、中銀が供給する通貨を管理し、2019年6月まで増やさないとした。それに伴い、インフレターゲットは廃止された。財政赤字の改善に向けては、IMFから500億ドルの融資枠が承認された6月に、政府は2019年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)をゼロまで改善することを目指すとしたが、その方向性が再確認されている。

為替管理では6月の融資枠承認時に、ルイス・カプート中銀総裁(当時)は通貨ペソの防衛策の一環として1億ドル規模のドル入札を75営業日継続させることを発表していた。中銀にとっての実質的なドル売りペソ買いを一定期間、継続的に行うことによって為替市場の安定化を狙ったものだったが、当初は効果を発揮したものの、8月のトルコ・リラ急落の影響を受け、ペソも急落した。

サンドレリス総裁は、新たに1ドル=34~44ペソの為替バンドを設定するとして、その範囲内における為替介入は行わない方針を明らかにした。為替バンドは年末まで毎月3%ずつ調整し、為替バンドの枠外となった場合は、1日当たり1億5,000万ドルの介入を行う可能性があるとしている。

また、中央銀行はLELIQ(7日物中央銀行債)金利の60%を政策金利の参照にする。前回8月30日の金融政策委員会(COPOM)では、少なくとも12月までは政策金利を引き下げないと声明を出したが、サンドレリス総裁はインフレ率の減速が確認されるまでは60%が保たれると発言。また、ドゥホブネ経済相も現地紙「クラリン」(9月27日)にて今後数カ月で政策金利は下がるだろうとの見通しを述べるなど、政策金利でも新たな方向性が出てくる可能性がある。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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