和食器の人気、SNSで拡散

(スペイン)

マドリード発

2018年11月15日

スペインでも、日本の茶器は人気だ。最近はSNSによる情報発信が特に有効な宣伝ツールになっているという。ジェトロが10月17日に広島市で、19日に高松市で開催したデザイン製品商談会「Fine Design SETOUCHI」に参加した、マドリードの和食器店「アネコ(ANEKO)」の玉置さをり店舗マネジャーに聞いた(11月7日)。

同店は2016年末に開店し、カップや湯飲み、皿などを中心に約2,000種類、2万点とスペインでも最大規模の日本陶磁器の品ぞろえを誇る。羽織や箸、包丁といった生活用品の扱いも増やしている。ほぼ全ての商品が日本製で、本物をリーズナブルな価格で提供するというこだわりを持っている。

オーナーは同店以外にも日本食レストラン2店舗を経営するスペイン人夫妻で、店舗運営は玉置氏が担当している。折からの和食ブームを追い風にフェイスブック(Facebook)やインスタグラム(Instagram)での広報に注力し、開店2年目となる2018年の売上高は前年比5割増を見込む。

写真 クラシックなインテリアを生かした店内(ジェトロ撮影)

クラシックなインテリアを生かした店内(ジェトロ撮影)

売れ筋商品は茶器セット

店舗が富裕層の居住するサラマンカ地区に立地するため、当初は近隣の高齢層の来店が多かったが、最近はマドリード州外からフェイスブックを見たという若年層が顧客の半分近くまで増えている。購入目的はギフト用が圧倒的に多く、特にクリスマス時期の売り上げが大きい。人気商品は139ユーロの茶器2点セット。青色系の皿も売れ筋だ。顧客には華道ファンも一定数おり、食器を生け花用の花器にと購入していくケースもあるという。

写真 ギフト用に最も売れている茶器2点セット(ジェトロ撮影)

ギフト用に最も売れている茶器2点セット(ジェトロ撮影)

割れ物のため、現在はマドリード市内の販売が中心だが、取り扱いが丁寧な宅配業者を採用し、スペイン全土への配送も行っている。また、常連客からの提案をきっかけに、スペインの宅配アプリ「グロボ(Glovo)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注)を利用した配送にも取り組み始めたという。インターネット販売は行っていないが、フェイスブックに掲載した商品が注文されるケースもある。今後はネット通販サイト向けの卸などとしての販路も拡大していく予定だ。

今回の商談会では、変わり小皿や手すき和紙、レターセットなどの和雑貨を調達したという。「和食器を入り口に、より多様な日本製品に関心を持つ人が増えていると手応えを感じている。中国製が多い中、当店の商品に触れて、日本製に価値を見いだす顧客が増えている。」という。

(注)グロボは配達サービスのない店舗で商品購入を代行し、1時間以内に自宅配送を行うという、ニッチなeコマース市場を突いたスタートアップ。

(高文寧)

(スペイン)

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