欧州委、鉄鋼製品へのセーフガード調査の延長を決定

(EU)

欧州ロシアCIS課

2018年12月25日

欧州委員会は12月19日、鉄鋼製品に対する緊急輸入制限(セーフガード)の調査を延長する通達(ノーティス)を発表した。この調査は、米国政府の鉄鋼に対する追加関税賦課の決定を踏まえ、3月26日に開始されたもの(2018年3月28日記事参照)。WTOの手続きにのっとって9カ月以内に結論を出す方針としていたが、例外的な状況では2カ月の期間延長が認められており、今回の延長はこのルール適用による。欧州委は調査の結果、(鉄鋼製品に対する)最終的な措置を採択する場合、遅くとも2019年2月1日までに実施規則として公表する予定としている。

今回の延長決定の理由については、対象品目が28製品分野と広範囲にわたることに加え、調査への関心を表明して質問票の送付やヒアリングへの参加に関わる当事者数が800以上に及び、「前例がない」規模の調査となっている点を挙げ、分析に時間を要していると説明している。

一部鉄鋼製品では追加関税賦課まで秒読み段階

欧州委は調査期間中の暫定措置として、鉄鋼に関する暫定的なセーフガード措置を7月19日から発動している(2018年7月19日記事参照)。この措置は、対象の28製品分野に対し関税割当枠(クオータ)を設定し、EUへの過去3年間の輸入実績の平均に基づく割当枠を超過した場合、その時点から25%の関税を課すもの。今回のセーフガード調査延長の結果、この措置も継続される。

12月25日現在、割当枠を全て消化し25%の追加関税賦課が開始された品目はまだないが、特にHS7213、7227(鉄または非合金鋼のその他の線材)、HS730661(鉄鋼製のその他の管および中空の形材)、HS7214(鉄または非合金鋼のその他の棒)に分類される1部の品目については、追加関税賦課まで秒読み段階となっている。関連製品を取り扱う企業は注意が必要だ。

なお、現在発動中のセーフガード措置の対象CNコード(EUのHSコード)については、欧州委員会実施規則(EU)2018/1013外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの付属書Iで、それぞれの追加関税賦課の閾値(いきち)となる輸入量の閾値については同規則付属書Vで確認することができる。また、EUが設けている関税割当制度の割当枠の残量の最新状況は、EUのデータベース「QUOTA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で確認できる。

(根津奈緒美)

(EU)

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