第3四半期のGDP成長率、予想を下回る前年同期比1.6%

(トルコ)

イスタンブール発

2018年12月19日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(12月10日)によると、2018年第3四半期の実質GDP成長率は、2%前後の市場予測を下回る前年同期比1.6%にとどまった。これは、クーデター未遂事件後の2016年第3四半期以降では、最も低い成長率となる。

第3四半期のGDP成長率は、通貨安やインフレの高騰の影響が色濃くみられ、民間消費の鈍化、投資の減退の中、外需の伸びが成長を支えた。なお、季節・日数調整後の成長率(前期比、年率換算)はマイナス1.1%だった。これは、第2四半期のプラス0.6%から急減しており、2019年にかけて景気後退局面に入る、とみる向きもある。

支出項目別にみると、GDPの56%を占める家計最終消費支出は、前期の6.4%増から1.1%増へと大きく鈍化した(表1参照)。特に、耐久消費財の落ち込みが23.9%減と著しい。他方、政府最終消費支出は7.5%増と伸びが続いている。また、民間投資を含む総固定資本形成は前期の4.2%増から3.8%減と急減した。他方、輸出は13.6%増と好調で、通貨安の影響から輸入が16.7%減と落ち込んだことから、外需(ネット輸出)はプラスに寄与し、成長の鈍化を部分的に相殺している。

表1 2018年第3四半期の支出項目別実質GDP(2009年連鎖価格)

生産部門別にみると、これまで成長を牽引してきた建設は、第1四半期の6.7%増、第2四半期の1.0%増から、第3四半期は5.3%減と大きく落ち込んだ。工業部門も0.3%増と伸びが低く、うち製造業は0.6%増だった。他方、サービス業は4.5%増となり、前期を大きく下回りながらも成長を牽引した。また、農林水産業は、前期のマイナス成長(2.8%減)から1.0%のプラス成長に転じている。

表2 2018年第3四半期の産業部門別実質GDP(2009年連鎖価格)

景気後退懸念が高まり、第4四半期はマイナス成長か

第3四半期GDP成長率の減速によって、景気後退懸念が高まり、第4四半期のマイナス成長が見込まれる中、市場関係者による2018年通年の成長予測は2.8~3.4%と、前年の7.4%を大きく下回る見通しだ。この傾向は2019年前半にも継続し、同年の成長率予測はマイナス0.5%~プラス1%と、さらなる景気後退が見込まれている。

(中島敏博)

(トルコ)

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