中国と香港、CEPAの下で貿易自由化を推進

(香港、中国)

香港発

2018年12月21日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)と中国商務部は12月14日、「中国と香港間の経済緊密化協定(CEPA)」(注1)の枠組みの下で、物品貿易に関する新たな協定に調印した。2019年1月1日から施行される。

現行の原産地規則である「産品特定原産地規則(以下、特定規則)」では、香港原産地品の1,900品目を中国がゼロ関税で輸入している。新たに導入される「一般性原産地規則(以下、一般規則)」(注2)の条件を満たせば、これまで適用の範囲外だった物品にもゼロ関税が適用される。今回の新たな協定の導入により、ゼロ関税の範囲が約6,000品目に拡大されることとなる。

ベイエリア内の通関手続きの効率化・利便性向上へ

同協定では、両地が「広東・香港・マカオグレイトベイエリア(粤港澳大湾区)」(注3)内における通関の効率化や利便性向上に向けた取り組みを進めることも盛り込まれた。具体的には、広東省9都市と香港は、以下の7つの貿易促進策について検討を進める。

  • 広東省9都市間の越境通関手続きの迅速化
  • 通関の共通窓口化など
  • 両地の税関共通の電子フォーマットの共同開発など
  • 通関所要時間の公表および短縮化
  • 低リスク物品の検査・検疫の免除
  • 第三者検査などの範囲拡大
  • 中国産の原料を使用した香港産加工食品の中国への輸出促進

サービス貿易も開放拡大へ

同じく12月14日、中国・香港間の経済・貿易協力関係の強化を目的とする「本土・香港経貿合作委員会」の第1回会議が香港で開催され、香港から中国へのサービス貿易の自由化を拡大することで合意した。具体的には、中国と香港との合弁による法律事務所を設立可能な都市が中国全土に拡大される。加えて、中国で生産・加工され、中国の強制製品認証制度による認証が必要な製品について、香港の認証機関が検査・測定することも認められた。この措置は2019年3月1日から適用される。

(注1)中国と香港間で2003年6月に締結された自由貿易協定。

(注2)域内原産割合(Regional Value Content, RVC)が一定割合以上(積み上げ計算方式の場合30%以上、減算計算方式の場合40%以上)となる場合は、ゼロ関税が適用される。計算式の詳細などについては香港政府工業貿易署のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

(注3)ベイエリアは、広東省内の9都市(広州市、深セン市、珠海市、仏山市、恵州市、東莞市、中山市、江門市、肇慶市)と香港およびマカオ特別行政区から構成される。

(吉田和仁)

(香港、中国)

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