砂糖税導入を含む甘味飲料の規制に向けて意見公募
(シンガポール)
シンガポール発
2018年12月11日
保健省は12月4日から、糖尿病対策の一環として甘味飲料の規制に向け、一般からの意見公募を開始した。同省によると、砂糖含有量の多い飲料の摂取を規制する方法として、(1)糖分・栄養情報のラベルの義務化、(2)広告規制の強化(注1)、(3)飲料メーカー、輸入業者への物品税(砂糖税)課税、(4)糖分の高いパッケージ甘味飲料の全面禁止、の4案について、2019年1月25日まで意見を募集する(注2)。
保健省は2016年から「糖尿病への宣戦布告」を宣言して、糖尿病予防対策を本格化している。同省によると、同国には現在、約40万人の糖尿病患者がおり、何も対策を講じなければ、2050年までに100万人に達すると見込んでいる。同省の調査によれば、シンガポール人は毎日平均でスプーン12杯分(60グラム)の砂糖を摂取している。この半分以上が甘味飲料からの摂取、そのうち64%がパッケージ飲料だという。
飲料メーカーは低甘味や無糖飲料の販売を拡大
政府の意向を受けるかたちで、コカ・コーラ、ペプシコ、ポッカ、ネスレ、F&Nフーズ、ヨー・ヒャップセン、マレーシア・デアリー・インダストリーズの飲料大手メーカー7社は2017年8月、甘味飲料の砂糖含有率を2020年までに12%(100ミリリットル当たり12グラム)以下とする宣言を発表した。7社はシンガポール国内の甘味飲料市場の7割のシェアを占める。
「ストレーツ・タイムズ」紙(12月4日)によると、コカ・コーラの広報担当は今回の意見公募に関し、政府の糖尿病対策は支持するものの、広告規制や物品税の課税には否定的な考えを示した。同社は2017年7月の宣言以降、低甘味飲料や無糖飲料の販売を開始。広報担当によると、同社の無糖飲料「コカ・コーラ・ノーシュガー」と緑茶飲料「綾鷹」の2018年の売り上げが2桁増で伸びている。
(注1)健康に良くない食品や飲料の、子どもを対象とした広告については現在、自主ガイドラインとしてテレビ放送の時間、チャンネルを制限している。
(注2)意見公募は情報通信省のウェブサイトから。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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