オーストラリア、ニュージーランドとの相互承認協定の継続を合意

(英国、オーストラリア、ニュージーランド)

ロンドン発

2019年01月28日

英国政府は1月18日と22日に、オーストラリアおよびニュージーランドそれぞれと電気製品や医療機器をはじめとする複数分野の規制などを相互承認する協定に合意、署名したと発表した。オーストラリアおよびニュージーランドはEUと相互承認協定を締結しており、英国は今回の合意によりその内容を継承することで、英国が何ら合意なくEUから離脱(ノー・ディール)する場合でも、両国とは現状の相互承認内容が切れ目なく継続することになる。

EUは、オーストラリアと自動車製品、電気製品、低電圧機器、機械、医療機器、圧力機器、電気通信機器、医薬品の8分野を対象とした相互承認協定を締結している。今回の合意により、英国とオーストラリア双方の輸出者は、事前に輸出先での規制準拠を確認し、輸出に係る時間や費用などを削減できるメリットを享受し続けられる。英国からオーストラリアへの輸出の34%、輸出額で20億ポンド(約2,880億円、1ポンド=約144円)相当の製品が対象となる。

EUとニュージーランドは、オーストラリアとの相互承認分野から自動車製品を除いた7分野で協定を締結している。今回の合意により、英国からニュージーランドへの輸出の17%、輸出額で1,690万ポンドの製品が対象となる。英国のリアム・フォックス国際貿易相は、協定が英国とニュージーランド間のビジネスの継続に必要な確実性をもたらすとした上で、「英国は、EU離脱(ブレグジット)後のニュージーランドとの新しい自由貿易協定のほか、同国が参加している環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)へのアクセスの可能性についても優先的に取り組む」と述べた。

EUは上記2カ国のほか、日本、カナダ、イスラエル、スイス、米国と相互承認協定を締結している。日本は電気製品、電気通信機器、化学品、医薬品分野で締結しており、日本政府は英国のEU離脱に関する動向を踏まえ、日英間で相互承認に関する協議を進めている。他方、「フィナンシャル・タイムズ」紙(1月17日)では、今回の署名は36ある各種承継協定の中で初めての合意で、離脱までに全てに合意することは難しい、と報じている。

(鵜澤聡)

(英国、オーストラリア、ニュージーランド)

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