統合型リゾート(IR)の2社、90億Sドルの追加投資で独占保証期間が延長に

(シンガポール)

シンガポール発

2019年04月08日

シンガポール政府は4月3日、カジノを併設する統合型リゾート(IR)のマリーナ・ベイ・サンズ(MBS)とリゾート・ワールド・セントーサ(RWS)が、会議・展示会施設やホテル、アトラクションなどの設置で、総額90億シンガポール・ドル(約7,380億円、Sドル、1Sドル=約82円)を追加投資すると発表した。この追加投資を受けて、両IRの独占保証期間を2030年末まで延長し、その間、他のカジノ事業者の参入は認めない。両IRの独占保証期間は2017年に切れていた。

同発表によると、今回の両IRの追加投資額90億Sドルは、両IRの2006年の初期投資総額約150億Sドルの約6割に相当する。都心部にあるMBSを運営する米国ラスベガス・サンズは、隣接する土地に4つ目の棟を建て、大型劇場(1万5,000席)や展示会・会議施設と高級ホテル(約1,000室)を追加する予定だ。セントーサ島のRWSを運営するマレーシアのゲンティンは、リゾート施設内にあるユニバーサル・スタジオ内に、スーパー任天堂ワールドを含む新たなアトラクションを設置する計画だ。また、水族館を拡張し、2つのホテル(合計1,100室)を新設する。両IRが新設する施設の完成日は未定。

写真 MBSが新設する追加施設の完成予想図(ラスベガス・サンズ報道発表)

MBSが新設する追加施設の完成予想図(ラスベガス・サンズ報道発表)

政府は両IRの拡張に伴い、施設内のカジノ場をMBSに対して追加で2,000平方メートル、RWSに対し500平方メートル拡大することを認める。政府はこれまで両IRに対し、施設のカジノ場の広さの上限をそれぞれ1万5,000平方メートルと定めていた。

国民のカジノ入場料を4月4日から引き上げ

発表によると、国民(永住権者を含む)のカジノ場への入場料を4月4日から、100Sドルから150Sドルへと引き上げた。また、年間パスについては同日から、2,000Sドルから3,000Sドルへと引き上げた。同入場料については、向こう5年間については引き上げないとしている。

政府は両IRを運営するラスベガス・サンズとゲンティンに対し、プレミアム客(注)向けのギャンブル収入に5%、一般客向けは15%のカジノ税を課している。このカジノ税率を2022年3月からプレミアム客は8~12%、一般客は18~22%へと引き上げる意向だ。

(注)プレミアム客はカジノ場に10万Sドル以上の口座を維持しているVIP顧客を指す。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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