国家統合個人情報管理システムの導入進む

(ケニア)

ナイロビ発

2019年04月09日

ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領はマチャコス郡で4月2日に演説を行い、国家統合個人情報管理システム(NIIMS)の全国規模の運用に向けて、同郡でも本格的に稼働することを発表した。NIIMSは、汚職防止や安全保障の確保、国勢調査への活用などを目的に、IDカードや運転免許証、パスポート、生体情報などの個人情報を一元化し、各個人にフドゥマ・ナンバー(Huduma Namba、スワヒリ語で「サービス番号」)を付与する。既に、ナイロビやエンブなど47郡中14郡で、試験的な導入が始まっていた。登録期間は4月2日~5月16日の45日間で、病院や学校など公共施設で登録キャンペーンが行われる。

現地報道(「ザ・スター」紙電子版4月2日)によれば、フドゥマ・ナンバーは6歳以上の子供やケニアに居住権を有する外国人(就労者、学生、難民)も登録対象だ。旅行者などの短期滞在者は対象外となる。

政府はフドゥマ・ナンバーに指紋だけではなく、耳や手の形やDNAなどの生体情報(バイオメタリックスデータ)、交付されるカードにはGPS機能を付与するとしている。ケニア高等裁判所は、政府による個人のDNAおよびGPS情報の収集、NIIMS登録の義務化は違憲だとし、個人情報の悪用や第三者への流出を懸念点に挙げた上で、取り扱いを再考するよう議会に求めている。国民や外国人居住者の間でも、今後見込まれる急な制度変更への対応や実際の運用に対し、不安の声が多い。

(久保唯香)

(ケニア)

ビジネス短信 e29d0b042ed04477