3月開設の南オーストラリア州東京事務所、タウンゼンド所長に聞く

(オーストラリア)

シドニー発

2019年04月30日

南オーストラリア(SA)州は3月、在日オーストラリア大使館内に東京事務所(注)を開設した。SA州産食品の輸出や日本企業のSA州への誘致を促進する。

SA州はオーストラリア南部に位置する人口174万人の州。州都アデレードの人口は133万人と、州都としては国内で5番目の規模で、2018年12月には宇宙庁が創設された(2019年1月17日記事参照)。同州には、日本から三菱自動車、NEC、キリンビール(同社出資のライオン社)などが進出している。

有望なミナミマグロの対日輸出

SA州東京事務所長には、日本でのビジネス経験が豊富で、2018年12月から在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所会頭も務めているサリー・タウゼンド氏が就任した。4月17日、同所長に事務所の役割などについて聞いた。

(問)SA州が東京事務所を開設した理由は。

(答)SA州の厳選された食品、ワインなどアルコール飲料の日本への輸出や、クリーンエネルギー、ライフサイエンス、そして新たな宇宙技術産業分野でのSA州への投資誘致など、日豪間ビジネスの機会創出を推進するためだ。事務所の開設により、北東アジアにおけるSA州のネットワークが拡大する。日本企業や日本の消費者にとっては、SA州の一流の食品や飲料などを入手しやすくなる。

(問)SA州の産業の現状は。

(答)SA州経済は近代的で多様性に満ち、活気にあふれている。世界一流クラスのワインの産地(バロッサ、マクラールン・ベール、クレア・バレー、アデレードヒルズ)を有するとともに、国際的に評価の高い飲食店が数多くある。農林水産品・食品については、SA州は世界最高水準のものを輸出しており、日本からも大きな関心を集めている。

(問)SA州には具体的にどのような産品、製品があるか。

(答)最も有望なのはミナミマグロだろう。ワインのほか、肉やかんきつ類、特にネーブルオレンジの輸出は増えている。

(問)日本企業へ伝えたいメッセージは。

(答)日本はオーストラリアにとって最も重要な経済パートナーだ。東京事務所の開設が実現したことは非常に喜ばしい。これまで以上に日本との貿易・投資パートナーの関係が深まることを楽しみにしている。

(注)日本には、ニューサウスウェールズ、ビクトリア、西オーストラリア、クイーンズランドの各州が事務所をおいている。

(中里浩之)

(オーストラリア)

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