エチオピア繊維縫製産業に関する報告書、安価な賃金など課題も指摘

(エチオピア)

アディスアベバ発

2019年05月16日

米国のニューヨーク大学スターンスクール・ビジネスと人権センターが5月3日、エチオピアの繊維縫製産業についての報告書「メード・イン・エチオピア」を発表した。報告書は約2万5,000人の労働者を擁するハワッサ工業団地での調査を基にまとめられた。ハワッサ工業団地は外資誘致および工業化の旗艦政策として政府が設置し、2017年から操業しており、GAPやH&Mなど世界的ブランドも入居している。

報告書によると、エチオピアの繊維縫製工場労働者の平均賃金は月額26ドルで、調査対象国中で最低だった。他の主要国では、トルコが340ドル、中国が326ドル、ベトナムが180ドル、「世界の縫製工場」とされるバングラデシュでは95ドル。アフリカでは、南アフリカ共和国が244ドル、ケニアが207ドルとなっており、エチオピアの安価で豊富な労働力は外資系企業の関心を引いている。

一方で報告書は、ボーナスや食費・交通費が支給されたとしても、月額26ドルでは生活が困難だと指摘し、最低賃金の設定を提案している。工場労働者の多くは地方の農村から出稼ぎに来ている女性で、現在の水準では貯金や家族への仕送りは難しいという。持続的な雇用や生産性の向上に向けて、課題とも言えそうだ。

(山下純輝)

(エチオピア)

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