米ファンド、インドの世界最大手パッケージ会社買収へ

(インド)

ムンバイ発

2019年05月09日

米国系プライベート・エクイティ(未公開株式)ファンドのブラックストーンは4月22日、世界最大手の特殊パッケージメーカーであるエッセル・プロパック(本社:ムンバイ)の51%の株式を取得すると発表した。ブラックストーンによる投資額は最大で約321億ルピー(約513億6,000万円、1ルピー=約1.6円)に達し、消費財の分野で同社にとって最大の投資となる。エッセル・プロパックは、主として歯磨き粉などの口腔(こうくう)ケア商品向けを主とするラミネート・チューブ生産の世界最大手であり、インドをはじめ中国や欧州、北米・中南米など12カ国に25の工場を持ち、年間70億本以上の生産を誇る。取引先には地場メーカーのほか、英蘭系ユニリーバ、米系P&G、コルゲートなど世界的ブランドが挙げられる(同社ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますより)。報道によると、ブラックストーンは株式取得の背景として、「口腔ケア商品だけでなく、化粧品や医薬品の分野でも大きな成長が望める」ことなどを挙げた(「ミント」紙4月23日)。

米調査会社ニールセンによると、2018年度のインドの日用消費財(FMCG:Fast-Moving Consumer Goods)市場の成長率は11~12%と予測されており、都市部より農村部の方が高い伸びを示すとしている。FMCG市場の急速な成長は、パッケージング市場の拡大も意味しており、内外からの期待感は強い。

厳しい環境規制、日系企業のビジネスチャンスも

他方、マハーラーシュトラ(MH)州では、2018年6月、プラスチック包装規制が施行され(2018年7月27日記事参照)、紙コップなどの需要が一気に高まった。MH州をはじめインド各州では厳しいプラスチック規制が導入され始めており、今後は環境に配慮したかたちでのパッケージングも求められる。リサイクルや環境配慮で世界をリードする日本企業にとって、インドのパッケージング産業は自分たちの強みを見せることができる有望な市場になり得る。

(比佐建二郎)

(インド)

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