電子商務法施行から半年、監督管理の強化や細則の整備が進む

(中国)

北京発

2019年06月27日

中国で、電子商取引(EC)に携わる事業者の義務や消費者の権利保護などを定めた「電子商務法」(以下、電商法)が施行(2019年1月1日)されて半年が経過する(2018年9月25日記事参照)。電商法の規定を確実に実施するため、国家市場監督管理総局など8部門は6月17日に「2019年のインターネット市場の監督管理特別行動方案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公布し、インターネット市場での監督管理を強化する取り組みを実施すると発表した。

方案では、EC事業者などについてルール化を進め、良好な参入環境を整えることが取り組みの筆頭に挙げられた。具体的には、「電子商務経営者」(注1)の市場主体登記の監督、アプリなどで商品を販売するEC業者(「微商」)および越境EC業者に対する規律の強化、電商法第15条の情報公開義務に違反した経営者の取り締まりなどに取り組む。特に、「電子商務プラットフォーム経営者」に対しては、電商法などに基づいた登記届け出を進めることや、プラットフォームに出店する事業者の情報の真実性を確認することなどを求めていく。今後は方案に基づき、政府各部門によって、EC事業者に対する監督管理の強化が進められるとみられる。

また、4月30日には国家市場監督管理総局によって「インターネット取引監督管理弁法(意見募集稿)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が公開された(注2)。同弁法は、電商法の施行を受けて、既存の「インターネット取引管理弁法」を修正したもの。意見募集稿では、(1)企業登記、(2)営業許可証などの公示、(3)プラットフォーム出店者情報の市場監督管理部門への報告、(4)個人情報や営業秘密などの保護、(5)情報公開、正価表示、架空取引やユーザー評価の改ざん,違法な抱き合わせ販売の禁止、市場支配的地位の乱用の禁止、(6)出店者の真実性確認や出品される商品の検査、(7)消費者権益の保護などについて、電商法の内容に合わせて修正、改善を行っている。下位法に当たる同弁法が今後、正式に公布されることにより、電商法の運用が強化されていくと見込まれる。

(注1)「電子商務経営者」や「電子商務プラットフォーム経営者」などの定義は、電商法において規定されている(2018年9月25日記事参照)。

(注2)弁法の意見募集は5月29日で終了している。

(小宮昇平)

(中国)

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