米中貿易交渉再開も、韓国経済への影響は楽観できぬ状態

(韓国、米国、中国、北朝鮮)

ソウル発

2019年07月05日

大阪で6月28~29日に開催されたG20大阪サミットの結果について、韓国のメディアは「G20大阪サミットでは世界的主要課題の合意を導くことはできなった」とし、「G20大阪サミットを契機に開催された米中首脳会談により、米中貿易戦争が事実上、休戦になったことが大きな成果」と報じた。

ただし、米中貿易交渉が再開されても、「米中貿易戦争の余波が韓国の経済を襲う恐れがある」など懸念の声が上がっている。

G20大阪サミットで議論されたテーマを分野別にみると、経済紙発行部数トップの「毎日経済新聞」は通商分野について、共同声明が採択されたものの、米国の反対により「反保護貿易主義」への言及がされず、地球温暖化にかかわる「パリ協定」の履行も米国が抜けたかたちになったと報じ、米国の言いなりとなりG20の権威が落ちたとの批判が高まると分析した。

進歩系の「ハンギョレ」はデジタル経済について、多国籍IT企業への課税、データ流通などに関する国際的なルール作りのため「大阪トラック」が発足したとし、韓国でも7月1日から韓国企業のみに課された付加価値税が海外企業にも課されるため、公平性の問題が一部改善されると報じた。

一方、最大発行部数を誇る保守系の「朝鮮日報」は米中首脳会談など2国間対話の結果について、「米中貿易交渉再開も、証券市場への影響は制限的になる」「2019年下半期の輸出展望は視界ゼロ」と報じるなど、楽観的ではないと分析している。尹勉植(ユン・ミョンシク)韓国銀行副総裁は7月1日、米中貿易交渉の再開について「短期的にはプラス要因だが、中長期的には不確実性が高い」と評価した。

G20に参加した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本を去る6月29日、気候変動、海洋プラスチックごみ問題やPM2.5などの環境問題について有意義な議論がなされたことをSNSに投稿したが、投稿内容の大部分は中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領との会談の成果や韓国で米国のトランプ大統領と首脳会談を行うことなどで、朝鮮半島の平和のために注力していることを強調した。

翌6月30日に板門店でトランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談が行われ、7月1日には日本政府の「韓国向け輸出管理の運用見直し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が発表されたため、韓国でのG20に関しての関心は著しく下がった状況にある。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国、米国、中国、北朝鮮)

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