リー首相、G20大阪首脳宣言を評価しつつ、進展のなさに懸念も

(シンガポール)

シンガポール発

2019年07月08日

シンガポールのリー・シェンロン首相は6月29日、G20大阪サミット(首脳会議)出席後、シンガポール記者団に対し、同日採択された首脳宣言について、参加国の立場の違いがある中、盛り込まれた文言に首脳間で合意したことを歓迎した。ただ、リー首相は、自由貿易や温暖化対策などのテーマで「目立った進展がなかった」と述べ、首脳らの姿勢が前年のアルゼンチンでのG20首脳会議と比べてさらに硬化したことに懸念を表した(「ストレーツ・タイムズ」紙6月30日)。リー首相はG20に招待国の首脳として出席した。

デジタル分野でシンガポールは、データの自由な流通促進とプライバシー、データ保護の対応を提唱してきた。首脳宣言では、議長国の日本が「信頼性」を要素として強調したことが「ストレーツ・タイムズ」紙(6月29日)で紹介された。リー首相は、日本やオーストラリアとともに、WTO電子商取引有志国会合を立ち上げ、デジタル貿易や電子商取引(EC)の自由化とルール作りを積極的に推進していることをシンガポール記者団に語った(「ストレーツ・タイムズ」紙6月29日)

また、リー首相は同日、自身のフェイスブックで、29日に開かれた米中首脳会談で貿易協議の再開で一致したことに言及し、「米中の貿易交渉が進展していることを喜ばしく思う」と述べた。世界の不確実性が強まり、見通しは予断を許さないが、試練を乗り越えるべく十分に備え、ASEAN、日本など同様の立場や意見を持つ国・地域との関係構築を深化させる必要があるとした。

(藤江秀樹)

(シンガポール)

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