チリにおけるeコマースの普及と課題

(チリ)

サンティアゴ発

2019年07月30日

チリの小売り大手ファラベラ(Falabella)グループに属するeコマース大手リニオ(Linio)が、53カ国と8地域を対象に行った調査によると、2018年のチリにおける1人当たりeコマース利用額は、中南米トップの314.4ドルだった。メキシコの139.7ドルや、ペルーの125ドルを大きく上回り、中南米平均の107.6ドルの約3倍の数値だ。

eコマースによる売上総額においても、チリは、ブラジルの197億2,200万ドル、メキシコの176億2,900万ドルに次ぐ、58億8,800万ドルと、中南米で3番目に多い。南米地域におけるeコマースによる売上総額は390億ドルだったことから、そのうち50%をブラジルが占め、以下、チリ(15%)、アルゼンチン(11%)、コロンビアとペルー(10%)、エクアドル(2%)、ベネズエラ(1%)と続く。リニオの関係者は、本調査結果の大きな要因の1つとして、チリにおけるインターネット普及率の高さを挙げている。チリのインターネット普及率は78%で、中南米ではアルゼンチン(93%)、コスタリカ(86%)、エクアドル(80%)に次ぐ4位だ。

見えてきた課題

チリ国内においてeコマースが消費者に普及する一方で、課題も生じている。7月24日付「プブリメトロ」紙によると、一部のeコマース事業者に対し、商品配達の遅れや、商品の在庫不足による一方的な注文のキャンセルから、消費者の苦情が殺到している。2019年上半期は、サンティアゴ商工会議所が5月に開催したサイバーデー(2019年6月19日記事参照)での注文数の大幅な拡大も要因となり、クレームがさらに増加した事業者もあった。eコマースの普及と同時に、事業者にとっては、安定的な販売網の構築や、適切な在庫管理システムの整備が求められている。

(佐藤竣平)

(チリ)

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