大手不動産企業などがスタートアップイベントを開催

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2019年08月29日

ロシアのサンクトペテルブルク市内で8月20日、スタートアップ支援イベント「スタートアップ・ファーマー」が開催された。本イベントでは、70社の応募から選ばれたスタートアップ企業11社によるピッチ(プレゼンテーション)コンテストのほか、セミナーや討論会、交流会が開催された。

写真 ピッチコンテストの様子(ジェトロ撮影)

ピッチコンテストの様子(ジェトロ撮影)

本イベントは、スタートアップ企業と投資家・支援団体のネットワーキングを目的に、サンクトペテルブルクの法人向け不動産サービス開発・提供を手掛けるベスト・グループと、大手銀行のサンクトペテルブルク銀行が初めて開催したもの。後援には地元メディアのほかに、サンクトペテルブルク市政府傘下のアクセラレータ「テクノパーク」などの支援団体も名を連ね、ピッチコンテストの審査員として参加した。聴講者は投資家や支援団体などで、主催者によると本イベントへの参加者は500人に上った。ピッチコンテストに出場したスタートアップ企業11社は表のとおり。いずれも投資の獲得を目的とした参加だった。

表 ピッチコンテストの参加企業(プレゼンテーション順)

ピッチコンテストでは、スタートアップ企業は1社5分の持ち時間に加えて、審査員からの質疑応答により自社をアピール。審査員は「チームの強さ」「スケーラビリティー(利用者や需要の増大)対応」「市場」「ビジネスモデル」の4つの観点で評価した。その結果、中小企業向けに財務計画や収益の管理・分析システムの提供を行うFinansistが優勝した。財務支援を通した中小企業、特に起業家やスタートアップ支援という同社の理念とそのサービス内容、市場性が評価されたもようだ。また、2位には電子キーによる建物内アクセス管理システムを提供するQUATRAが、3位にはマンションやビジネスセンターの管理システムを提供するHubExが、それぞれ入賞した。受賞者にはベスト・グループが設置したコワーキングスペースの利用権などが与えられた。

主催者である不動産企業ベスト・グループのゲオルギー・ルィコフ社長は、スタートアップ関連イベントがロシアでも多数行われていることに触れ、本イベントを開催する意義として「若い起業家の環境を快適に整えることは当社の課題であり、社会的責任だ」と、スタートアップの支援環境の整備に意欲を示した。

写真 ピッチコンテスト後の交流の様子(ジェトロ撮影)

ピッチコンテスト後の交流の様子(ジェトロ撮影)

(一瀬友太)

(ロシア)

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