2018年は観光業が伸長、人気旅行先は偏り傾向も

(ギリシャ)

ミラノ発

2019年08月28日

ギリシャの観光業が好調な伸びをみせている。ギリシャ観光連盟(SETE)は8月1日、2018年の観光統計データを発表した。それによると、2018年にギリシャを訪れた外国人観光客は計3,483万人に上り、前年比12.3%の増加となった。また、宿泊日数は計2億3,000万日を記録(8.2%増)。観光収益も約156億5,300万ユーロに上り、10.2%増加した。

2019年に入っても観光業は好調で、第1四半期の観光収益は前年同期比で37.2%増の7億6,000万ユーロとなった。ギリシャ経済は、2016年までのマイナス成長から、GDP成長率が2017年に1.5%、2018年には1.9%となり、徐々に回復傾向の兆しをみせている。主要産業の1つである観光業の伸長が、経済を牽引していくことが期待されている。

訪問先は特定地域に集中

同じくギリシャ観光連盟(SETE)が2019年7月に発表した統計によれば、国内にある22の地方空港の6月30日時点での、夏休み期間中の予約座席数は約1,655万席と、前年比7%減少した。一方、統計は異なるが、首都のアテネ国際空港(エレフテリオス・ベニゼロス空港)のデータによると、2019年1月から7月までに同空港に到着した訪問客数は、前年の903万人から984万人へと9%増加しており、好調だ。

また、冒頭の8月1日の発表によれば、インバウンドツーリズムにおける訪問数の81.9%、宿泊日数の86.2%、観光収益の88.1%が、国内の13地域のうち5つの地域(南エーゲ海地区、クレタ島、アッティカ県、中央マケドニア地区、イオニア諸島)に集中。特に、ギリシャの観光イメージ「太陽とエメラルドグリーンの海」をほうふつとさせる南エーゲ海地区、クレタ島、イオニア諸島では、1訪問当たりの観光客による支出ならびに平均滞在日数が際立って高い結果になった。

また、1訪問当たりの平均支出額は南エーゲ海地区で最も多く、666ユーロ(前年比6.4%増)となった。逆に、支出額が最も低かった地域は東マケドニア・トラキア地域の167ユーロ(20.3%減)だった。

国別訪問数をみると、ドイツ、英国、ブルガリアからが2018年の上位3位を占めた。一方、支出額の面では、ドイツ、英国、米国、フランス、イタリア、ロシアの順となっており、これら6カ国がギリシャ全体の観光収益の55.2%、訪問数の41.5%、宿泊日数の49.7%と、半分前後を占めている。なお、ギリシャを訪れるロシア人観光客は近年、減少傾向にあったものの、ギリシャ国内の特定の地域においては支出額が高く、一定の存在感を示している。

(井上友里、山崎杏奈)

(ギリシャ)

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