中央葡萄酒、EU向け日本ワイン輸出の自己証明製造者として承認

(日本、EU)

欧州ロシアCIS課

2019年08月09日

2019年2月1日に発効した日EU経済連携協定(EPA)により、EUの醸造規則によらずとも、日本ワインの基準を満たしていれば、EU向けに輸出することが可能となった(2018年6月18日記事参照)。酒類総合研究所によれば、全国各地で新規ワイナリーの設立が相次いでおり、ここ2年で1割程度増え、約300社に達している。財務省貿易統計によると、2018年の日本のEU向けワイン輸出は1,500万円に達している。日EU・EPAが発効した2月から6月までの5カ月間でみても、日本のEU向けワイン輸出は前年同期比で15.7%増の705万円と、順調に伸びている。

酒類総合研究所によれば、「果実酒等の製法品質表示基準」(平成27年国税庁告示第18号)に定める「日本ワイン」であって、以下の要件を満たすワインであれば、日EU・EPAの下で、EU輸出が可能としている。

〇「同一の産品」に、補糖と補酸、または補酸と除酸を行っていないこと

例えば、ブドウ果汁とこれから製造されたワインは、「同一の産品」でない。従って、果汁に補糖し、これから製造されたワインに補酸することは可能。

〇衛生基準、表示基準等については、EUの基準を満たすこと

このため、例えば、

(1)亜硫酸の上限については、EUの基準[一般ワインで、赤150ミリグラム/L、白200ミリグラム/L(二酸化硫黄換算)]が適用される。

(2)補酸、除酸、おり下げなどに使用する食品添加物などは、EUで認可されているものである必要がある。

(3)表示基準もEUの基準が適用。アルコール分の表示はEUで定められた方法(測定温度20度)により分析した値に基づき、0.5%刻みで表示する必要がある。

(4)750ミリリットルなどのEUの容量規制が適用。四号瓶(720ミリリットル)や一升瓶(1,800ミリリットル)での流通は認められない。

EU向け日本ワイン輸出の自己証明申請が徐々に増加

また、上記要件を満たす日本ワインを1貨物当たり100リットル以上、EUに輸出するには、以下のいずれかの方法により、証明を受ける必要がある。

  1. 製造者による自己証明
  2. 酒類総合研究所による証明

1.については、輸出の都度、迅速な証明が可能となり、従来必要だった酒類総合研究所への証明書発行費用などが不要となるが、日本ワインの自己証明製造者として承認を受け、EUへの通報後、EUのウェブサイトで公表される必要がある。2019年8月1日時点でこの承認を受けているのは中央葡萄酒1社となっている。

2.については、これまでのEU向け輸出ワイン証明申請とほぼ同じ手続きで証明書を入手でき、発行費用が1通当たり2万7,100円から5,200円(いずれも税込み)へと大幅に軽減されている。酒類総合研究所によれば、この証明書申請は4月以降で約30件程度あり、前年度の実績21件を既に上回っているという。

(田中晋)

(日本、EU)

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