10月総選挙に向け選挙活動が開始、治安悪化の懸念

(モザンビーク)

マプト発

2019年09月18日

10月15日に投票日を迎えるモザンビーク総選挙(大統領、国会議員、州議会議員選挙)に向けた選挙活動が8月31日に開始された。5年に1度の総選挙では、大統領、国会議員、各州議会議員の計794人が選出される。

大統領選挙には、現政権与党のモザンビーク解放戦線(FRELIMO)、および野党第1党のモザンビーク民族抵抗運動(RENAMO)、第2野党のモザンビーク民主運動(MDM)、2015年に発足した新興政党「全体救済のための統一運動行動党(AMUSI)」の4党から、4人の候補者が擁立されている。国会議員選挙には、上記4党を含む26党が立候補者を擁立している。フィリペ・ニュシ現大統領が再選され、FRELIMO政権が継続するとの見方が強いが、首都マプトから離れた中部や北部では従前から野党支持者が多いことから、現国会での各党の保有議席数(FRELIMO144、RENAMO89、MDM17)がどのように変動するかが焦点となる。

他方、RENAMOの古参であるマリアノ・ノンゴ氏は、8月に政府と同党間で結ばれた停戦協定(2019年8月13日記事参照)に反対の立場を表明し、同氏が率いる派閥こそが真のRENAMOと主張し、和平交渉を仕切り直すよう政府に要求している。同氏は8月26日にドイツの国営放送ドイチェ・ビレ(DW)のインタビューで、要求が受け入れられない場合、武力による選挙の阻止も辞さない姿勢もみせており、今後の治安の悪化が懸念される。

選挙活動の開始以降、現地では政党ポスター貼りをめぐる暴行や、与野党支持者による乱闘などが連日、報道されている。9月11日にはナンプラ州のFRELIMO集会において死者10人以上、負傷者80人以上の暴動が発生している。国政の行く末とともに、総選挙を挟んでの社会・経済情勢の変化にも注意が必要となる。

(松永篤)

(モザンビーク)

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