ポーランドと米国が5Gに関する共同宣言に署名

(ポーランド、米国)

ワルシャワ発

2019年09月11日

米国のマイケル・ペンス副大統領はポーランド訪問中の9月2日、ポーランドのマテウシュ・モラビエツキ首相と「5Gに関する米国・ポーランド共同宣言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」に署名した。安全保障の観点から、サプライヤーを評価する際の要素が盛り込まれた。

共同宣言では、安全な5G(第5世代移動通信システム)は発展と国家安全保障に不可欠なことから、ポーランドと米国は5G分野での協力強化を望むとした上で、チェコ政府が5月に開催した5Gネットワークのセキュリティーに関する国際会議「プラハ5Gセキュリティー会合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」における議長声明で、自由で公正な競争や透明性・法の支配基づくネットワーク構築の必要性を強調する「プラハ提言」への支持を表明した。両国はまた、5G関連機器およびソフトウエアの提供事業者の慎重かつ完全な評価が不可欠なこと、不正アクセスなどからの保護のため、全ての国が信頼できるサプライヤーのみがネットワーク事業に参画できるようにする必要があることなどを示した。

また、次のサプライヤーを評価する際の要素を盛り込んだ。

  1. サプライヤーが独立した司法審査なしに、外国政府によるコントロール下に置かれていないか。
  2. サプライヤーの株主構成に透明性があるか。
  3. サプライヤーが倫理的な企業行動をしている記録があるか。

各種報道は、上記の記述は米国が、5G分野で影響力を拡大させている中国企業の華為技術(ファーウェイ)を念頭に置いて盛り込んだものだと分析している。米国は華為などの排除を世界各国に訴え掛けており、今回の共同宣言もそれの一環とみられるという。

ちなみに、中国外交部の耿爽(グン・シュアン)氏は9月3日に行われた定例記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、上記の共同宣言に関して問われた際、「ポーランドの大統領と首相は、在ポーランド中国企業を公平、公正に扱うこと、特定の国家および特定の企業に差別的な措置を取らないと明らかにした。ポーランド側がこの約束を尊重することを願う」と発言した。同時に、米国が「中国企業に圧力をかけるため、米国が国家安全保障の概念を乱用することをやめるよう強く要請する」と述べた。

(楢橋広基)

(ポーランド、米国)

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