経済特区の税制優遇制度を見直す法案が下院で可決

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月19日

フィリピンの下院は9月13日、輸出加工型の製造業やIT-BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)産業の外資系企業が3,000社以上入居するフィリピン経済特区庁(PEZA)管轄の経済特区に適用されている、税制優遇制度(注)の抜本的見直しを規定する税制改革第2弾法案「CITIRA法案(下院第4157号)」を賛成多数(賛成170、反対8、棄権6)で可決した。

CITIRA法案の作成者の1人であるジョーイ・サルセダ下院歳入委員長は地元メディアに対して、現在、経済特区に入居している企業は再度、税制優遇の申請することも可能だが、雇用者数、現地調達率、研究開発(R&D)、労働者のトレーニングなど国内経済への貢献度合いを基準に政府が審査することになると説明した。同委員長はさらに、CITIRA法案の成立によって150万人の雇用が創出され、2019年は1.1ポイント、2020年から2030年までは毎年3.6ポイントずつ、経済成長率を増加させるとした。

CITIRA法案は税制優遇制度を見直す一方で、現行の法人所得税率30%を、2020年から2029年までの間で2年ごとに段階的に2%ずつ20%まで引き下げることを規定している。反対票を入れた下院議員は地元メディアに対して、法人税率の引き下げは海外企業の投資を呼び込むための最も重要な要素ではなく、むしろインフラ、政治、通信速度といった問題を解決することが重要だと述べた。

日本や米国など、在フィリピンの外国商工会議所で構成される外国商工会議所連合は9月3日、CITIRA法案の対象からPEZAを外すことを求める声明を発表している(2019年9月5日記事参照)。

CITIRA法案はこの後、上院に送られ、審議が開始される予定だ。

(注)PEZAに入居する製造業の場合、(1)法人所得税の3~6年間の免除(ITH)、(2)ITH終了後は売上総利益の5%を法人所得税とする特別所得税率の適用、(3)関税、埠頭(ふとう)税、輸出税の免除、(4)税関手続きの簡略化、などが適用されている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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