2018年度の外国投資件数、過去最高の282件に

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2019年10月23日

ミャンマーの投資企業管理局(DICA)が公表した統計によると、2018年度(2018年10月~2019年9月、注)の外国直接投資認可額〔ティラワ経済特区(SEZ)を除く〕は、2017年度(2017年4月~2018年3月)に比べて27.3%減の41億5,800万ドルだったが、件数ベースでは中国企業の増加が寄与し、過去最高の282件となった。

不動産投資は一段落し、小規模な製造業投資が増加

業種別では、運輸・通信が15億3,800万ドル(2017年度比70.6%増)、製造業が13億4,800万ドル(23.8%減)、不動産開発が2億1,100万ドル(83.3%減)と上位になった。認可件数でみると、製造業が225件と全体の約8割を占める。

運輸・通信については、インド系企業による港湾設備の開発・管理事業や、通信事業会社、通信タワー建設会社による追加投資などが主な投資案件となっている。製造業では、2017年度にセメント製造や内需向け生活用品製造で1億ドルを超える大規模投資が5件あった一方、2018年度は中国や香港企業などによる縫製業など、比較的小規模な投資案件が多かった。不動産開発は、2017年度は日系企業を中心に複数の大規模案件が認可されたが、2018年度は1億ドルを超える案件はなかった。

国・地域別では、シンガポールが24億1,000万ドル(25件)、中国が6億3,500万ドル(140件)、香港が4億5,600万ドル(43件)、タイが2億2,100万ドル(11件)、米国が9,800万ドル(2件)と上位を占めており、日本は4,300万ドル(8件)となっている。

日本の実質投資額は国別で3位

DICAが公表する上記の外国直接投資認可額には、日系企業が多く投資しているティラワSEZの認可が含まれていない。また、シンガポールなどの第三国を経由する投資もあるため、DICAから入手した資料を基に、ティラワSEZと第三国経由の投資認可額を反映した日本企業の実質的な投資認可額を集計した(図参照)。

図 日系企業の実質投資認可額の推移

2018年度は、日本からの直接投資が4,200万ドル、第三国経由の投資が3億200万ドル、ティラワSEZの投資が2億8,400万ドルで合計6億2,800万ドルが認可され、2017年度比57.5%減となった。投資認可額が大きく減少した主因は不動産開発案件の減少によるものだが、ティラワSEZでの投資認可額をみると、2017年度比で18.8%増となり、製造業を中心に投資が活発だ。なお、日本企業の実質的な投資認可額を、前述の国・地域別の認可額と比較した場合、シンガポール、中国に次ぐ規模となる。

(注)ミャンマーの財政年度は、2018年度から10月~翌年9月に変更された。2018年10月~2019年9月を2018年度、2018年4月~2018年9月を2018年移行期、2017年4月~2018年3月を2017年度とした。

(田原隆秀)

(ミャンマー)

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