政府系ファンド、国有企業の民有化に向け保有株の売却開始

(カザフスタン)

タシケント発

2019年10月08日

カザフスタン政府系ファンド「サムルクカズナ」は9月25日、子会社の原子力公社「カズアトムプロム」の保有株986万株(1株13ドル)をグローバル預託証券(GDR)として、ロンドン証券取引所とアスタナ証券取引所(AIX)で売却し、1億2,820万ドル(うち6,530万ドルはAIXで取引)を調達したと発表した。

986万株のうち、650万株が国際投資家、336万株が国内投資家向けに販売された。これで「サムルクカズナ」の「カズアトムプロム」の株式保有率は81.2%になる。「カズアトムプロム」は世界の原子力発電所向けのウラン、レアメタル、核燃料の輸出を行っている国有企業で、従業員は2万1,000人。

今回の同社の株式上場は2015年12月30日付カザフスタン共和国政府令第1141号「2016~2020年の包括的民有化」に基づき行われた。この政府令により、2018年11月には「サムルクカズナ」は新規株式公開(IPO)で、「カズアトムプロム」の15%の持ち株を売却している。

初代大統領のヌルスルタン・ナザルバエフ氏が2016年から始めた国家中期計画「5つの制度改革と実現のための100の具体策」はカシムジョマルト・トカエフ現大統領が踏襲しており、9月に行った一般教書演説でも、健全で競争力のある企業を育成するため国有企業とその子会社を民有化する必要性を強調している。

今後、「カズアトムプロム」以外にも、「サムルクカズナ」が保有するエネルギー、通信、輸送などの国有企業の株式も上場される見込みで、国有企業の民有化に向けた動きが本格化する。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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