第4回民主党米大統領候補者討論会、リベラル派への追及強まる、トランプ大統領の弾劾では一致

(米国)

ニューヨーク発

2019年10月18日

2020年米国大統領選挙の民主党候補者による第4回民主党討論会が、10月15日にオハイオ州ウェスタービルで開催された。CNNおよび「ニューヨーク・タイムズ」紙主催による今討論会では、民主党全国委員会(DNC)の基準を満たした12人の候補者が登壇した(2019年10月7日記事参照)。選挙資金の調達と世論調査の支持率の両面で追い上げたエリザベス・ウォレン上院議員(マサチューセッツ州)と、現在平均支持率トップのジョー・バイデン前副大統領の対決、ウォレン氏が掲げるリベラルな政策に対する他の候補との議論が焦点となった。他方、下院議会でトランプ大統領の弾劾調査が進められている点については、12人の候補者が一致して、トランプ氏は弾劾されるべきとした。

医療保険政策で攻められるウォレン氏

国民皆保険制度、富裕税に関する討論では、ウォレン氏、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州)が掲げる国民皆保険制度(メディケア・フォー・オール2019)や富裕税制度の導入について、バイデン氏、インディアナ州サウスベント市長のピート・ブッティジェッジ氏、エイミー・クロブチャー上院議員(ミネソタ州)ら多数の穏健派候補者が、財源の確保が説明されていないと追及する場面がみられた。バイデン氏は、国民皆保険の実現には10年間で30兆ドルの予算が必要になるとし、たとえ国防総省をなくしたとしても、4カ月分の予算しか捻出できないと批判した。

後半では、外交政策で広く議論が展開された。特に、トランプ大統領が米軍をシリアから撤退させた判断については、どの候補者も、イスラム国(ISIS)との戦いで重要なパートナーだったクルド人を見捨て、テロリストに復活の機会を与えたとして現政権を痛烈に批判した。

いずれの候補者も従来の通商政策を批判

会場となったオハイオ州は、いわゆる「ラストベルト地帯」に属し、自由貿易と製造業の自動化が雇用を奪ってきたとの意識が強い地域だ。貿易と雇用の問題については、候補者全員が労働組合の強化と従来の通商政策の是正を主張した。特にウォレン氏は、これまでの通商政策が米国の労働者の職を奪ってきたと指摘。その裏には、米国の消費者、労働者、地域社会よりも、自社の利益のみに忠実な多国籍企業がいると、その存在を強く非難した。

CNNは、今回の勝者はブッティジェッジ氏、実業家のアンドリュー・ヤン氏、クロブチャー氏、サンダース氏とし、敗者はウォレン氏、バイデン氏、カマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州)、慈善事業家のトム・スタイヤー氏とした。

次回の討論会は、11月20日にジョージア州アトランタでMSNBCと「ワシントン・ポスト」紙主催により開催される。現時点ではDNCの基準を満たすバイデン氏、ウォレン氏、サンダース氏、ハリス氏、コーリー・ブッカー上院議員(ニュージャージー州)、ブッティジェッジ氏、ヤン氏、スタイヤー氏の計8人の候補者が登壇を予定している。

(湯浅麻里絵、磯部真一)

(米国)

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