欧州委、家電など対象に部品在庫の最低保証期間など盛り込むエコデザイン措置採択
(EU)
ブリュッセル発
2019年10月02日
欧州委員会は10月1日、家庭用電機機器や電機設備などのエネルギー効率を改善するための新たなエコデザイン措置案を採択した。対象は10商品グループで、うち8商品グループについては既存のエコデザイン措置を改正し、「商業用冷蔵庫」と「溶接装置」については新たな規則を導入する。EUが推進するエネルギー同盟の優先課題の1つ「エネルギー効率優先の原則」に基づいて、リユースを促し、商品寿命を延ばすため、対象となる商品の「修理可能性」「リサイクル可能性」の徹底を図り、リペア部品についてより長期の在庫保証期間などを定め、メーカーの供給責任を明確にする点が特徴的だ。
7~10年のスペア部品在庫の最低保証期間を明示
今回の政策パッケージの対象となる10商品グループは次のとおり。
- 冷蔵庫(Refrigerators)※
- 洗濯機(Washing machines)※
- 食洗機(Dishwashers)※
- (テレビを含む)ディスプレー(Electronic displays)※
- 照明システム(Light sources and separate control gears)※
- 外部電源(External power suppliers)
- 電動モーター(Electric motors)
- (自動販売機など)商業用冷蔵庫(Refrigerators with a direct sales function)※
- 変圧器(Power transformers)
- 溶接装置(Welding equipment)
※は、当該6商品グループは3月11日に採択済みの「新エネルギー効率ラベル」の対象でもある。
また、対象商品のリペア部品について、在庫保証期間を次のとおりとしている。
- 冷蔵庫:最低7年(ドアガスケットは最低10年)
- 家庭用洗濯機・乾燥機:最低10年
- 家庭用食洗機:最低10年(ただし、修理事業者専用部品の場合、最低7年)
このほか、上記期間中、これらのスペア部品の15営業日以内の供給をメーカーに義務付けるなど、電機機器・設備を修理して継続利用できる環境をEU域内で整備する狙いがある。
欧州委の試算によると、今回の措置の発効により、既存のエコデザイン措置および「新エネルギー効率ラベル」による効果を合わせて、2030年までに年間167テラワット時(TWh)相当の最終エネルギー消費の削減効果が期待できるという。また、欧州で1世帯当たり年間150ユーロ相当の経費節減につながるとしている。新規則は、EU官報掲載から20日後に発効する。
なお、欧州消費者機構(BEUC)は同日付の声明で、家電製品の安全性、修理可能性の向上につながり、最低7~10年のスペア部品の在庫保証期間が示されたことで、商品寿命の長期化に貢献するなどと、新規則の効果に期待感を示した。他方、一部のスペア部品は修理事業者のみが利用可能な現状を踏まえ、消費者が自ら家電製品を修理する権利を享受できるよう、さらに踏み込んだ措置とすべきともコメントした。
(前田篤穂)
(EU)
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