欧州投資銀行、2021年に化石燃料エネルギープロジェクトへの資金提供終了

(EU)

ブリュッセル発

2019年11月20日

EUの政策金融機関である欧州投資銀行(EIB)の理事会は11月15日、気候変動対策と環境の持続可能性への取り組みを強化するエネルギー関連融資に関する新方針と新戦略に合意した。新融資方針は、EIBが今後行うエネルギー関連融資について、次の5原則を定めた。

  • EUのエネルギー効率化指令(2018年7月2日記事参照)が定める目標達成を支援するため、エネルギー効率性を優先
  • 2030年までにEU全体での(エネルギー消費量に占める)再生可能エネルギーの割合が32%に達することを目的に、低炭素技術やゼロ排出技術への支援を拡大し、エネルギー部門の脱炭素化を可能とする
  • 分散型エネルギー生産と革新的なエネルギー貯蔵技術、Eモビリティー(電気自動車など)への資金提供を拡大する
  • 風力や太陽光など変動の大きい新エネルギー源に欠かせない送電網への投資を実現し、域内国境を越える相互接続を強化
  • EU域外のエネルギー変革を支援するための投資の効果を高める

この新方針に基づき、EIBは2021年末をもって、ガスを含む化石燃料を利用したエネルギープロジェクトへの資金提供を終了する。またエネルギー関連投資における排出基準を従来の1キロワット時(kWh)当たりの二酸化炭素(CO2)550グラム以下から250グラム以下に引き下げた。さらに、公正なエネルギー転換を実現するため、特に大きな影響を受ける加盟国を対象に、新エネルギープロジェクトを最大75%まで支援する。詳細は、EIBのエネルギー関連投資に関する方針外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

気候変動と環境の持続可能性に関する新戦略は、次の3点が要点となる。

  • 2021~2030年にかけて、気候変動対策と環境の持続可能性の分野で、資金面の支援などを通じて1兆ユーロの投資を呼び込む
  • 気候変動と環境の持続可能性の分野への資金提供の割合を段階的に拡大し、2025年以降は50%を達成することを目指す
  • 2020年末までに全ての金融活動を気候変動に関するパリ協定の原則と目標に合致したものとする

(村岡有)

(EU)

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