日本からの旅行客誘致に手応え、エアラインや企業の進出に期待

(ウズベキスタン、日本)

タシケント発

2019年11月25日

ウズベキスタンの観光産業が活性化している。政府はビザ緩和を含めたインバウンド観光産業の育成政策を矢継ぎ早に打ち出し、同分野での新規起業数は2019年上半期で前年同期比2倍に伸びた。産業別の平均給与額でも伸びが著しく、若年層の雇用創出にも貢献している。日本からの観光客も順調に伸び、日系ホテルの進出も発表された。今後の日本との観光分野の発展の可能性と政策の方向性について、国家観光発展委員会のウルグベク・アザモフ副委員長に話を聞いた(11月11日)。

(問)2019年10月下旬に大阪で開催された旅行展示会「ツーリズムEXPOジャパン」出展の成果は。

(答)ウズベキスタンのツアーオペレーター8社が参加した。今回の特徴はアグリ・ツーリズムの観点からウズベキスタンのワインメーカー2社が参加したことだ。成果はまだ把握していないが、観光発展委員会は日本のツアーオペレーターと意見交換を行い、ウズベキスタンの観光インフラの改善点などの聞き取りを行った。トイレ整備、各都市を結ぶ交通インフラ、ホテルの数、日本(ソウル経由)-ウズベキスタン間のビジネスクラスが少なく、需要を満たせていないことなどの点で課題があることが分かった。国際会議にも参加してプレゼンテーションを行ない、中央アジア地域全体に注目が集まっているのを感じている。

(問)観光分野での日本とウズベキスタンの現状、将来性について。

(答)日本からウズベキスタンへの旅行客は(ビザが免除された)2018年に1万7,000人、2019年1~10月では2万2,300人を超えた。両国間のチャーター便運航実績は2018年に12本、2019年には17~18本に増えた。日本側から見ても、この運航は成功だったとのコメントを得ている。野心的な数字として、日本からの旅行客数を年間10万人まで引き上げたい。日本の航空会社の乗り入れなども今後、積極的に誘致する。H.I.S.ホテルホールディングスによるホテル建設は勇気づけられるニュースだ(2019年11月1日記事参照)。先進案件として積極的に支援し、追随の案件が出てくることを期待したい。旅行会社・ツアーオペレーターの誘致も関心事項。世界遺産や、独自文化などの観光資源があるウズベキスタンに日本から進出してほしい。現地法人、駐在員事務所などの形態は問わない。日本からの旅行客の要望に沿ったツアー商品を組成してくれることを期待している。ほとんど知られていないが、ウズベキスタンには温泉もある。

(問)ウズベキスタンの観光分野の課題をどのように考えるか。

(答)1つ目は、航空便の乗り入れ本数を増やすこと。今までウズベキスタン航空の独占に近いかたちだったが、今後はLCC(格安航空会社)を含めて積極的に外国航空会社を誘致する。2020年2月に航空輸送業界向け国際会議をタシケントで開催する予定で、日本からの参加も積極的に呼び掛ける方針だ。2つ目は、インフラの整備。オフシーズン・リピートの誘客に向けてカジノやゴルフ場などの建設を振興するほか、定番の観光ルート以外の地域への道路などの輸送インフラを整備する。3つ目は、サービス・ホスピタリティー分野のレベル向上。国外から、同分野での高等教育機関の誘致を進めている。将来的には、MICE産業(注)の振興なども進める予定だ。

写真 国家観光発展委員会のウルグベク・アザモフ副委員長(ジェトロ撮影)

国家観光発展委員会のウルグベク・アザモフ副委員長(ジェトロ撮影)

(注)MICE:多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称。企業などの会議(Meeting)、企業などの行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などが行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとったもの。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、日本)

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