三井物産とブラジルのヴァーレ、炭鉱事業で減損損失を発表

(モザンビーク)

マプト発

2019年12月17日

ブラジル資源大手ヴァーレは、モザンビーク北部テテ州のモアティゼ炭鉱事業に関し、2019年第4四半期(10~12月)に約16億ドルの減損損失を計上すると発表した(11月26日付同社プレスリリース)。2020年に3カ月間操業を停止し、炭鉱施設のメンテナンスを行うことも同時に発表した。同社と合弁会社を設立し、炭鉱事業とナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業を共同で進める三井物産も、この炭鉱事業に由来する減損損失を2020年3月期に計上する見込みだと発表した(11月27日付同社プレスリリース)。

モアティゼ炭鉱は2011年に操業が開始され、当初、生産能力は最大で年間2,200万トンに達するとみられていたが、2017年の生産量は約1,126万トン、2018年は約1,160万トンと伸び悩んでおり、8月には年間生産目標が1,400万トンから1,000万トンへ下方修正されていた。2020年に予定している炭鉱施設のメンテナンスでは主に選炭設備を改良し、生産性の向上を目的としており、同年下半期には年間生産量が1,500万トンの水準に達するとしている。また、新たな採掘計画の下で原料炭生産に比重を置くとしている。

モザンビーク中央銀行によると、2018年の石炭輸出額は約17億ドルと同国の総輸出額の3割以上を占めており、そのほとんどがモアティゼ炭鉱で生産されている。監査法人KPMGは12月4日に発表した「モザンビーク企業Top100」ランキングで、モアティゼ炭鉱の権益を持つヴァーレ・モザンビークを2018年に引き続きモザンビーク最大の企業としており、3カ月にわたる石炭の生産停止は貿易収支にも影響を及ぼすとみられる。

モアティゼ炭鉱向けには、日立建機が鉱山機械保守用トラックを納入するほか、石炭の輸送・輸出用に整備されたナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業には、国際協力銀行(JBIC)や大手邦銀も参加した国際協調融資(2018年1月24日記事参照)が行われているなど、日本との関わりも深い。

(松永篤)

(モザンビーク)

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