主要都市・県の2020年の最低賃金が出そろう

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年12月04日

日系企業が立地する主要都市・県における2020年の最低賃金が、2019年11月末までに出そろった。インドネシア労働省は10月、翌2020年の最低賃金上昇率を8.51%と設定しており(2019年10月25日記事参照)、ほとんどの都市・県においてこの上昇率に基づく最低賃金額が設定された。現地報道などを取りまとめた結果、翌年の最低賃金が最も高い地域は西ジャワ州カラワン県で月額459万4,325ルピア(約3万5,836円、1ルピア=約0.0078円)となる一方、最も安いのはジョグジャカルタ市で200万4,000ルピアだった(表参照)。

インドネシアでは、まず労働省が翌年の最低賃金の上昇率を設定し、その後、地方自治体の首長が最低賃金額を設定する仕組みだ。現地報道によると、今回、中部ジャワ州スマラン市(8.66%増)や東ジャワ州マラン県(10.77%増)など一部の市・県では、政府が設定した水準を上回る上昇率となった。

中部ジャワは相対的に低賃金を維持

多くの日系企業が集積するブカシ県やカラワン県の最低賃金は、国内最高水準にあり、高い賃金上昇率が主要な経営課題となっている。一方で、相対的に低賃金な地域は、中部ジャワ州やジョグジャカルタ特別州だ。例えば、中部ジャワ州の州都スマラン市の最低賃金は、ブカシ県の約6割の271万5,000ルピアにとどまる。ベトナムで日系企業が支払う月額基本給236ドル(約332万7,364ルピア、1ドル=約1万4,099ルピア)(注)と比べても、競争力がある。

低賃金メリットがあること受け、国内企業を中心に同市周辺に進出する動きが出ている。ジェトロが周辺の工業団地に聞き取りしたところ、シンガポールや中国企業も進出を決めるなど、海外からの生産移転の動きがあることも確認された。同地域には、クボタ、富士電機、矢崎総業など約30社の日系企業が拠点を有している。

表 主要都市・地域の最低賃金額

(注)基本給データは2019年8月時点、2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査(ジェトロ)による。

(山城武伸、デシー・トリスナワティ)

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