建設現場の熟練工不足が深刻化、インフラ整備計画の遅延要因に

(フィリピン)

マニラ発

2020年01月15日

フィリピンの産業界で指導的立場にある、フィリピン商工会議所(PCCI)のアレグリア・リムジョコ会頭は1月3日、建設現場における熟練作業員の不足が深刻化しており、ドゥテルテ政権が進める大規模インフラ計画「ビルド・ビルド・ビルド」の進捗に影響が出ていると、マニラ首都圏で開催されたフォーラムにおいて主張した。1月6日付「マニラ・ブレティン」ほか、地元各紙が報じた。

リムジョコ会頭は、特に建設機械の操作資格を有する熟練作業員が、マニラ首都圏のみならず地方の建設現場においても不足しているとした。また、フィリピンは労働人口が年間200万人のペースで増加するにもかかわらず、その多くは建設現場で労働するためのトレーニングを受けていないとし、「外国資本による建設プロジェクトにおいては、資本と併せて建設作業員を海外から呼びこむ必要がある」と訴えた。また、PCCIは既に、労働雇用技術教育技能教育庁(TESDA)と協力し、建設現場で即戦力となる作業員を養成するためのトレーニングプログラムを実施しているとした。

労働雇用省(DOLE)は2019年3月、ビルド・ビルド・ビルドのための建設作業員確保のため、海外に送り出す作業員を10%ほど減少させると発表したものの、依然としてより良い報酬を求めて海外就労を選択する熟練作業員が多い。在フィリピン中国商工会議所連盟のヘンリー・リム会頭は、フィリピン国内にとどめるためには国内の報酬を改善するしかないと主張した。

ビルド・ビルド・ビルドで中核とされている75のプロジェクトのうち、2019年11月時点で建設が完了したのは2つ、建設中は9つにすぎず、ドゥテルテ大統領の任期である2022年6月まで残り2年半で、全てのプロジェクトを完工させることは困難な状況だ。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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