法人税や関税優遇を享受するラゴス自由貿易区で進む工場進出

(ナイジェリア)

ラゴス発

2020年02月27日

ナイジェリア進出日本企業や政府機関の36人が2月14日、ラゴス自由貿易区工業団地(Lagos Free Zone:LFZ)を視察した。2019年8月に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で、安倍晋三首相がナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領と会談した際に合意した内容の一部である「日本・ナイジェリアビジネス促進協議会」活動の一環として開催した。参加者の業種は、食品や家電、医療機器、防災設備、輸送機器、商社など多岐にわたった。

LFZは2012年に区画が定められ、ラゴス市街地から東へ65キロ、自動車で2時間ほどの海岸沿いにあり、805ヘクタールの敷地に造成が進んでいる。LFZは、シンガポールが本社のトララムグループ(Tolaram Group)が100%出資する民間資本の工業団地で、同社のハレシュ・アスワニ社長、LFZのディネシュ・ラティ最高経営責任者(CEO)が視察団を出迎えた。

LFZ内の工場は、法人所得税が免税になる。原材料の輸入時は関税を払わず、生産後、ナイジェリア国内に販売する際に初めて関税を払うため、原材料輸入から国内出荷までの期間、関税支払いが猶予される。原材料をLFZに輸入し生産した後にガーナに再輸出するような場合、「西アフリカ諸国経済共同体自由貿易スキーム(ECOWAS Trade Liberalisation Scheme:ETLS)」を活用することで、関税が免除される制度もある。LFZ内には、輸出加工区庁(Nigerian Export Processing Zones Authority:NEPZA)や税関が設置される予定で、ワンストップでの通関が可能になる。

貨物港第1期工事が2022年に完成の予定

中国開発銀行の融資により、中国港湾レッキ深水港工程(China Harbour Engineering LFTZ Enterprise Lekki Port Project)が水深16メートルの貨物港を建設中で、2022年完工の第1期工事では延長2.5キロの防波堤、延長680メートルのコンテナバースが完成の予定だ。

写真 2.5キロの防波堤を備えた建設中の貨物港(ジェトロ撮影)

2.5キロの防波堤を備えた建設中の貨物港(ジェトロ撮影)

隣接地では、地元コングロマリットのダンゴテが総工費120億ドル、1日の製油能力65万バレルと見込まれる、シングルトレインとしては世界最大級となる製油所を建設中だ。

LFZでは現在、トララムグループとの合弁でケロッグ、コルゲート・パーモリーブ、ダノミルク(アーラフーズ、デンマーク)、インドミー(インドネシア、即席めん)、BASF(ドイツ)が既に工場を構えており、LFZによれば、最終的には約150社、数十億ドルの対内直接投資を呼び込むとしている。ナイジェリアの産業構造を変えるきっかけになることが期待される。

写真 工場の入居が進むLFZ内(ジェトロ撮影)

工場の入居が進むLFZ内(ジェトロ撮影)

(西澤成世)

(ナイジェリア)

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