マイナビがインドネシアのIT人材紹介スタートアップに出資

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年02月25日

マイナビ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがインドネシアのスタートアップ企業エクルート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに出資したことが、ジェトロのヒアリングにより明らかになった。出資額は不明。IT人材紹介の分野において、人工知能(AI)を活用した独自のビジネスモデルを持つ同社と協業することで、シナジー効果が期待される。マイナビはジャカルタに駐在員事務所を開設し、今後はエクルートの運営などをサポートする方針だ。

日系企業のみならず、インドネシアではIT人材が必要となる。エクルートのスティーブン・スリアワン最高経営責任者(CEO)に、同社のサービス内容、他社との違いなどについてヒアリングを行った(2月7日)。

(問)会社の概要と提供しているサービスについて。

(答)2016年10月に創業し、現在の従業員は120人。ITエンジニアを企業に紹介するリクルーティング会社はほかにも存在するが、AIスクリーニング技術を用いているのは当社のみ。求職者がウェブ上で記入し、学歴や職歴などを基にスキル判定を行う。その後、求人票に合う人材を選び出し、企業とマッチングを行う。この過程ほぼ全てでAIが活用されている。人の手が介在しないため、マッチング精度の均一化、時間短縮を図ることができ、他社と比較しても安い価格でサービスを紹介できている。1カ月に400件以上のIT関連の求人数を抱えており、ITエンジニア採用決定数は1年で400人。IT人材という観点では、インドネシアで最も多い決定数となる。

(問)どこからの出資を受けているか。

(答)イーストベンチャーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〔ジャカルタに拠点を置くアーリーステージ向けベンチャーキャピタル(VC)会社〕やその他VC、そしてマイナビから支援を受けている。当社としては、シリーズAラウンドが2019年末にクローズした段階。

(問)具体的にどのような人材に対応できるのか。

(答)スマートフォンで利用するアプリケーションなどのソフトウエアの設計やプログラミングを行うソフトウエアエンジニアへのニーズが高く、当社のデータベースに登録している人材の半分を占めている。ほかには、データ分析や、生産管理ができる人材に強みを持つ。

(問)顧客はどのような会社があるか。

(答)インドネシアのユニコーン企業(企業としての評価額が10億ドル以上で、非上場のベンチャー企業)では、ゴジェックやトコペディア、トラベロカが顧客。また、インドネシアの大手タクシー会社ブルーバードに対し、アプリケーション開発に必要なIT人材の紹介を行った。そのほか、病院や通信会社などさまざまな業種の顧客がある。製造業において、モノのインターネット(IoT)機器などの活用が進めば、同産業でもニーズが高まると考えている。

(問)今後の経営戦略は。

(答)インドネシアでは、ある程度の認知度はついてきた。今後は、大手クライアントや外国企業などにも積極的にアプローチをかけていきたい。そのためにも、テクノロジーや営業人員の強化を図りたい。

写真 エクルートのスティーブン・スリアワンCEO(右)とアルド・ゴザル最高執行責任者(COO)(左)(ジェトロ撮影)

エクルートのスティーブン・スリアワンCEO(右)とアルド・ゴザル最高執行責任者(COO)(左)(ジェトロ撮影)

(上野渉、シファ・ファウジア)

(インドネシア)

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