2019年の対日輸入、自動車・部品や食品などが拡大

(フランス)

パリ発

2020年02月20日

フランス税関の2月7日発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2019年の輸出(FOB)は5,080億ユーロで前年比3.3%増、輸入(FOB)は5,669億ユーロで2.2%増となった。貿易収支はマイナス589億ユーロと前年から39億ユーロ改善した。また、ジェトロがフランスの貿易統計をGlobal Trade Atlasのデータ(注)を基にとりまとめたところ、2019年のフランスの貿易(輸出FOB/輸入CIF、通関ベース)は輸出が前年比2.9%増の4,958億ユーロ、輸入が1.9%増の5,698億ユーロとなった。国内景気の減速を受け輸入が伸び悩んだことで、貿易赤字は740億ユーロと前年からほぼ30億ユーロ縮小した。詳細は以下のとおり。

輸出は、主力の機械類(前年比4.8%増)、航空機・宇宙飛行体(8.2%増)、医療用品(10.7%増)のほか、香水・化粧品類(7.7%増)、飲料・アルコール類(4.9%増)で好調な伸びを示した。特に、エアバス航空機の引き渡し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは総額320億ユーロ(358機)と過去10年間で最大になった。輸入は、機械類(5.1%増)、自動車・部品(4.5%増)が拡大する一方、最大に赤字品目の鉱物性燃料が国内需要の縮小や原油価格の下落などから前年を5.8%下回った。また国内における製造業生産の縮小を背景に、プラスチック(1.7%減)、鉄鋼(9.3%減)、ゴム(2.3%減)、アルミニウム(2.6%減)などの中間財が軒並み減少した。

国・地域別にみると、輸出、輸入のそれぞれについて全体のほぼ6割を占めるEU27との貿易(輸出が全体の58.5%、輸入は57.5%)は、輸出が前年比1.5%増、輸入が0.6%増にとどまった。EU域内で最大の貿易相手国ドイツが、輸出(1.3%減)、輸入(2.1%減)の両方で縮小したことが響いた。中国(香港を含む)との貿易は、輸出(1.3%減)が縮小に転じる一方、輸入(4.3%増)は増加を続けた。米国向けは、輸出(9.7%増)、輸入(8.5%増)とも好調だった。

2019年の対日貿易は、輸出が前年比16.7%増の約77億ユーロ、輸入が2.4%増の約103億ユーロとなった。日本からの輸入品は、(1)自動車・部品類(構成比:28.2%)、(2)印刷機や車両用エンジンなど機械類(26.5%)、(3)点火プラグや蓄電池など電気機器類(10.7%)、(4)医療用機器や検査機器、光学機器など(6.3%)、(5)各種の化学工業品(3.3%)の上位5品目で、全体の75%を占める。

2019年の対日輸入は、機械類(前年比1.3%減)、電気機器類(7.9%減)が縮小したが、主力の自動車・部品類は乗用車とその部品を軸に4.7%増となった。また、化学工業品も29.6%増と大きな伸びを示した。輸入品の比重としてはまだ小さいものの、食品の輸入も牛肉や魚介類、日本茶、日本酒などを中心に増加した。日本食の普及に伴う需要拡大とともに、2019年2月に発効した日EU経済連携協定(EPA)による関税撤廃も、一部の輸入を後押ししたものとみられる。牛肉(生鮮・冷蔵)は26.1%増、魚介類はマグロなどの魚肉を中心に65.8%増の大幅な伸びになった。そのほか、衣類(特にニット製品53.2%増)、鉄鋼(26%増)・鉄鋼製品(15.2%増)、卑金属製の手工具(2.1倍)、陶磁製品(53.6%増)など、関税撤廃の対象となった製品を含む品目で伸びが顕著だった。

(注)フランス税関が発表する品目別データはフランス独自の分類コード(A129)を使用しており、HSコードでのデータは8桁では取得可能だが、2桁もしくは4桁では取得できないことから、Global Trade Atlasのデータをとりまとめた。

(山崎あき)

(フランス)

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