新型コロナウイルス対策の警戒事態を再延長、感染はピーク越え間近か

(スペイン)

マドリード発

2020年04月06日

ペドロ・サンチェス首相は4月4日、3月14日から15日間の予定で発動し、3月22日に4月11日までに延長した「警戒事態」(2020年3月25日記事参照)を、さらに2週間延長するとした。これにより新型コロナウイルスの感染拡大防止のための厳格な移動制限や店舗閉鎖、民間施設の徴用、また企業への流動性供給や一時帰休(レイオフ)要件緩和などの緊急支援措置も継続される。憲法の規定に従い、4月7日の閣議後に延長案を提出し、今週中に下院で承認される見込みだ。

建設や製造業はイースター休暇後から再開可能

一方、3月30日から4月9日まで実施される必要不可欠な部門を除く生産活動の停止措置(2020年4月1日記事参照)については「そもそもイースター休暇の閑散期を利用した感染防止措置であり、延長はない」と述べた。主に建設そして必需品以外の製造業の停止を目的とした同措置は、経済界だけでなく野党からも反発の声が出ていた。

首相は今後の見通しとして「警戒事態の措置はこの先(4月25日以降)も必然的に延長されるだろう。しかし、それはこれまでのような厳しいものではなく、経済活動や社会生活を徐々に回復させる移行期間となる」と述べた。

政府発表のデータによると、4月4日時点の国内の累計感染者数は13万759人(前日比6,023人増)とイタリアを上回っているが、前日比増加率は4.8%増と3月下旬の20%増からペースダウンを続けている。死亡者数(累計1万2,418人)の増加は前日比674人増と3月26日以来最も少ない水準に後退した。集中治療インフラは依然厳しい対応に迫られているものの、感染者数の増加はピークを越えたとの見方が強まっている。

首相は、マスクとアルコールジェルの供給を可能な限り確保すると発言しており、政府はマスクを着用した上での外出を許可することを検討中と当地各紙で報じられている。またサルバドール・イリャ保健相は2日の下院保健委員会での報告で、4月前半の感染データを勘案した上で、屋外での運動や子供の散歩などを制限付きで許可することを検討中としている。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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